ダブルトーク環境下で音響エコーを安定的に低減する方法(音響信号処理/一般)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本報告では,ダブルトークとエコー経路変動の識別を必要としないステップサイズの制御法を提案する.音響エコーキャンセラーには適応フィルタの係数が乱れる3つの要因がある.その一つは,参照信号となる遠端話者音声のパワー変動,あと二つは外乱として働く近端話者音声の重畳(ダブルトークと呼ばれる)とエコー経路変動である.このうち,初めのパワー変動については適応アルゴリズムをブロック実行型とし,そのパワーでそのブロック長を制御することによって解決される.残る二つの要因による係数の乱れについては,その両者を識別し,前者と判断された場合はステップサイズを小さく,後者と判断された場合は大きく設定する処置の適用が有効であるとされている.しかし,その識別をすばやく,また確実に実行することは難しい.本報告では,そのダブルトークとエコー経路変動を区別することなく,適応フィルタの係数を更新しても推定誤差が安定に,またすばやく低減できるステップサイズの制御法を提案する.その制御は別に用意した,大きなステップサイズと少ないタップ数の副適応フィルタが生成する残留エコーのパワーを外乱のパワーと近似して行う.当然ながら,副適応フィルタの係数の収束は早く,その残留エコーは急速に減少し,そのパワーは外乱のパワーに近似される.このパワーを用いてステップサイズを制御すればエコー経路変動においては大きなステップサイズが,ダブルトークにおいては小さなステップサイズが自動的に設定されることになる.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2008-05-23
著者
関連論文
- ダブルトーク区間中においても推定誤差を着実に低減するステップサイズ制御法(電気音響,音響一般)
- GPUを用いた高圧縮画像に対する雑音低減手法の高速化
- マルチメディア情報通信技術とユーザビリティ (特集 プロジェクト研究報告概要集) -- (先端科学技術推進機構研究グループ)
- JPEG2000におけるROIの画質調整とその高画質化に関する一提案(画像システム,知的マルチメディア処理システム及び一般)
- 最大・最小値の近似に基づくモフォロジーフィルタの設計法(ディジタル信号処理)
- ダブルトーク環境下で音響エコーを安定的に低減する方法(音響信号処理/一般)
- FIR-IIR縦続型連立方程式法の検討
- 画像内オブジェクトの特徴量を用いた画像による類似画像検索 (スマートインフォメディアシステム)
- 画像をキーとした物体対象同定のための特徴量の検証(画像(II),ソフトコンピューティング,ソフトコンピューティング及び一般)
- 劣化画像のみを用いた雑音除去のためのGAによる最適構造要素の推定法の検討(画像(II),ソフトコンピューティング,ソフトコンピューティング及び一般)