数概念の獲得が困難な学習障害児における算数学習経過の分析(実践研究特集号)
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概要
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数概念の形成が困難な児童の小学校約5年間にわたる算数学習経過が整理された。指導当初にみられた注意散漫・衝動性といった問題行動の改善にともない、10までの計数が正確にできるようになった。その後具体的な操作などの活動を通して数概念の形成を図ったが、具体物の操作と数との対応ができず、機械的な計算方略による問題解決に終始した。学年が進むにつれこうした問題解決方略が断片的に集積され混乱が生じた。そこで時系列情報に含まれる数(漢字の画数)を題材として指導を進めたところ、集合数の理解が図られた。しかし10進法に基づく数系列の理解ができずいわゆるストリート算数に似た固有の問題解決方略がとられるようになった。以上の経過から数概念の獲得を妨げていた要因として(1)注意散漫・衝動性といった不適切行動(2)視覚的な情報の入力や操作のまずさ(3)概念形成・問題解決における固執性があげられた。
- 1995-03-31
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