カラマツ小径木の硝酸パルプの性質
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概要
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生長速度に相違のあるカラマツ小径木を用い,硝酸法における標準的なパルプ化条件を検討するとともに,同一試料木から硝酸法とクラフト法により製造した未晒パルプの収率,化学的および物理的性質を比較検討し,硝酸パルプの特性を明らかにした。結果の概要は次のとおりである。1)厚さ3mmのチップを用いた場合の硝酸法における標準的なパルプ化条件は,(1)熱水処理;2時間,(2)硝酸処理として,硝酸濃度;15%,液比;6:1,温度;80℃,時間;4時間,(3)アルカリ処理として,アルカリ濃度;1%NaOH,液比;6:1,温度,80℃,時間;1時間,処理回数;2回,の条件と思われる。2)厚さ1mmのチップを用いた場合には,厚さ3mmのチップの場合よりも,硝酸の使用量や処理時間が少なくてすみ,パルプの収率も多い。したがって,硝酸法においては,チップの大きさが重要な因子となる。3)硝酸パルプは,クラフトパルプよりも,収率は高く,マンナンは多かったが,キシランは少なかった。また,硝酸パルプは易叩解であったが,重合度やシートの強度はやや低かった。この原因は,パルプ化中のセルロースの加水分解が大きいためと思われる。しかし,硝酸パルプシートの明度は,クラフトパルプのそれよりも高かった。4)硝酸法によるパルプ化は,多くの利点を有するので,実用化に向け,今後さらに検討されるべきである。
- 1975-10-10
著者
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奥山 寛
帯広畜産大学農産化学科林産化学研究室
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三宅 基夫
帯広畜産大学農産化学科林産化学研究室
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寺沢 実
現在:北海道大学農学部林産学科林産製造学講座
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寺沢 実
帯広畜産大学林産化学研究室
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奥山 寛
帯広畜産大学生物資源化学科
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