カラマツ材のクラフトパルプに関する研究 : 第1報試料木の性質と生成パルプの化学的性質との関係

概要

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この報告は生長に特徴のある4本の道東産カラマツを対象に,パルプ材としての基本的性質の解明を目的としたものである。結果の概要は次の通りである。1)試料の化学組成は生長の遅速,樹齢別,樹高別および辺材,心材別による差異があり,特に,生長の速いものには灰分やリグニンが多い反面,ホロセルロースやαセルロースが少なく,これらの成分は生長の遅速に影響をうけるものと考えられる。2)繊維形状は生長の遅速や樹高別による差異がほとんど認められなかったが,夏材と春材の間には明瞭な差異がみられた。樹齢の若いDの形状が他のものより小さく,また心材の形状のほうが辺材のそれよりも小型であることから,幼時に形成された樹木の繊維は小型であると言える。3)同一条件で蒸解したクラフトパルプの収量は試料中のホロセルロース,αセルロー入および1%NaOH溶液による抽出物量とは高い相関々係があり,、各々の相関係数は+0.978,+0.933および-0.941であった。4)パルプの化学組成と試料中のそれとの間には相関々係がみられることから,パルプの化学組成は試料の化学組成に準ずるものと考えられる。
帯広畜産大学の論文
1967-03-31