カラマツ材のクラフトパルプに関する研究 : 第3報 パルプの物理的性質および化学組成におよぼす繊維の形態的特性の影響
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概要
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この報告は,カラマッ材の夏材,春材,辺材,心材などの部位別に調製されたクラフトパルプの物理的性質および化学組成におよぼす繊維の形態的特性の影響について検討したものである。結果の概要は次のとおりである。1)試料木の化学組成は,樹木の部位の違いにより,明らかな差異を示した。またこれらの部位別試料から調製されたクラフトパルプは,繊維の形態的性質のほか,物理的性質および化学組成においても変化がみられた。2)夏材パルプには,ホロセルロースとαセルロース含量が多かったが,リグニン含量は少なかった。また篩分けされた繊維の化学組成については,ホロセルロース,αセルロースおよびリグニン含量は繊維の大きさにより,相違がみられた。すなわち,繊維が大きくなるほど,ホロセルロースとαセルロース含量は増加したが,リグニン含量は減少した。3)柔軟な繊維からなる春材パルプは,剛直な繊維からなる夏材パルプよりも高い裂断長と比破裂度を示したが,未叩解の場合を除いて比引裂度は低かった。未叩解の夏材パルプの裂断長,比破裂度および比破裂度はきわめて低い値を示した。このことは,パルプ繊維間の弱い結合力に起因するものと思われる。4)パルプの物理的性質におよぼす繊維の形態的特性の影響は,比引裂度の場合を除いて,叩解パルプよりも,未叩解パルプにおけるぽうが明らかであった。夏材および春材パルプを同一条件で叩解した場合,前者の物理的性質は,後者のそれよりも著しく増大した。またパルプの物理的性質は,篩分けされた繊維の大きさによっても影響がみられた。
- 帯広畜産大学の論文
- 1971-05-30
著者
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