カラマツ材のクラフトパルプに関する研究 : 第6報 樹幹形状の異なる小径木から製造したパルプの性質
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概要
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樹幹の形状(通直,湾曲,優勢,劣勢)に相違のある13年生のカラマツ小径木から,同一条件で未晒クラフトパルプを製造し,パルプ材としての適性を調べた。結果の概要は次のとおりである。1)湾曲木にはアテ材が形成され,リグニン量が増加する。しかし,湾曲してからの期間が短かければ,パルプ材適性に大きな影響はない。2)生長の早い小径木は,遅いものに比べて,大型の繊維を形成する。しかし,生長速度の相違による化学組成の変化は,ほとんどみられない。3)比重の高い小径木の繊維形状は,繊維細胞壁が厚く,内腔幅(l)と繊維幅(W)の比で表わす柔軟係数(l/W×100)が小さい。4)ホロセルロース量やα-セルロース量が多く,リグニン量が少ない小径木からのパルプ収率は高い。5)小径木のパルプ収率は,成熟木の幹のそれとほとんど変らない。しかし,比重が小さいため,単位容積あたりの収量(kg/m^3)としては少ない。6)小径木の化学組成と生成パルプの化学組成は,相互によく相関する。7)小径木は,成熟木の幹に比べて,心材率が低く,また抽出物が少ない。このため,白色度の高いパルプを作る。8)小径木のパルプシートは,成熟木の幹のそれに比べて,引裂き強度は弱いが,引張りおよび破裂強度は強い。9)総合的な評価として,カラマツ小径木のパルプ材適性は,成熟木よりも,むしろ勝れていると思われる。
- 1980-05-30
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