東アジア通貨金融統合と経済厚生
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概要
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東アジアでは,近年,貿易,直接投資(FDI),金融フローを通じ,域内市場統合が急速に進展しつつある。こうした状況下で,欧州の「経済通貨同盟」(EMU)に倣って東アジアの諸国・地域でもアジア版経済通貨同盟を実現させ,何らかの共通通貨・単一通貨を導入させようとするブルー・プリントの検討が俎上に上せている。共通通貨・単一通貨が導入されると,東アジア各国金融政"策の自律性・独立性や通貨発行益は放棄され,且つ東アジア域内の非対称的ショックに対する為替レート調整機能は減じられるが,他方で為替取引コストの削減,為替変動リスクの軽減,物価安定,価格透明性の増大,東アジア金融資本市場の厚み増など,様々なメリットを享受し得ることも期待できる。そこで,本稿において,開放経済を取り扱う標準的な一般均衡動学モデルを基に,東アジアに共通通貨・単一通貨を導入すると仮定した場合の経済厚生的評価を試論的に行った。その結果,東アジア通貨の対米ドル為替レートのボラティリティが高まれば高まるほど東アジアに共通通貨・単一通貨を導入することに伴う経済厚生は増大し,共通通貨・単一通貨導入の意義が増すという結論を得た。
- 愛知学院大学の論文
- 2006-09-30
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