リードカナリーグラス(Phalaris arundinacea L.)とオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)幼植物における発育形態の比較
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概要
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リードカナリーグラス(以下,RCG)とオーチャードグラス(以下,0G)の生育習性の違いを精査するため,直径8.5cmのポットに1本植え(1988年5月17日に播種)したRCG(品種;ヴェンチャー)とOG(品種;アオナミ)の各幼植物を戸外で栽培し,主茎第5葉展開期から第11葉展開期までの間,経時的に堀取って個体を構成する各器宮・部位の外部形態と乾物重の推移を計測した。(1)実験期間中のRCGの主茎の出葉(ファイロクロン)は,約3.3日/葉の間隔で急速に進行したが,一方OGではこれよりやや遅延し,4.0日/葉前後で推移した。分げつの発生は,初めは,両草種とも規則的であったが,主茎の葉齢が進むにつれて,次第に上位の節からの発生が抑制されるようになり,特にRCGの主茎第7節以上では,分げつ出現は全くみられなかった。(2)RCG,0Gともに,生育に伴って個体および主茎の各器官の乾物重は指数関数的に増加した。全体にRCGの方が乾物増加の速度は大きく,実験期間を通して個体の相対生長率(RGR)は常に高い値を保っていたが,これは,主にRCGの葉面積比率(LAR)がOGより高いことに起因しており,個体の生育が進むと,純同化率(NAR)もOGより高くなった。器官別にみると,RCGにおいては節間部のRGRが著しく高く推移し,特に主茎においては,葉身部や葉鞘部の2倍近くになっていた。(3)両草種とも,主茎においては上位の節位になるほど順次,葉身長,葉身幅(葉身中央部で計測),葉鞘長が増した。OGでは,葉身長の増大が最も優先して進み,着生節位が上がると共にその増加の割合は一層加速された。RCGではOGに比べて上節位での葉幅の増加が顕著であったが,着生節位の上昇に伴う葉身長の増加はむしろ緩やかで,第10葉近辺において葉身長増大の鈍化が認められた。節位別にみた葉面積は,いずれもRCG>OGとなり,特に上節位では両者の差は拡大された。OGでは節間の伸長は全く認められなかった。RCGでは第5葉期まではほとんど節間の伸長はないが,第7葉期には節間の全長は10mm前後となり,これ以後第6,7節間より上位で急速に伸長した。
- 日本草地学会の論文
- 1994-04-30
著者
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