オーチャードグラス草地における時期別の分げつの発生・消長とその草地生産にはたす役割

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同一栄養系のオーチャードグラス個体を一定密度に栽植した模擬草地(100個体/m^2=LD,および400個体/m^2=HD)に対して,2段階の施肥水準(N,P,K各成分で60g/m^2=HN,および20g/m^2=LN)と刈取頻度(年間9〜10回刈=FC,および5回刈=SC)をそれぞれ組合わせた処理を行い,発生時期別の分げつの生活史と時期別分げつの収量構成割合の推移を調べた。利用1年目(1979年),2年目(1980年)ともに茎数密度の季節的推移は,栽培条件の如何に関わりなく類似のパターンを示し,1番刈後には主に出穂茎刈株からの分げつ発生により漸増,秋期には既存分げつからの旺盛な分げつ発生により急増し,一方,春の生育開始時(利用1年目春のHNは例外)と夏期高温時には分げつ発生の抑制や既存分げつの枯死により停滞ないし減少するのが認められた。1番刈後の分げつ発生は,HN・SC下で特に顕著に促進されたが,これらの分げつはいずれも弱勢で生存期間が短く,多くは夏期高温下で枯死した。これに対し,秋期に発生した分げつは,翌年1番刈以降もかなりの割合で栄養生長を続けて残存し,その多くが秋期まで生存した。利用2年目の1番刈収量は,全て前年起源の分げつにより構成されていた。1番刈以降の再生草においても,前年起源の分げつによる収量の割合が常に高い水準を保ち,1番刈以後に生じる分げつに比べて収量への貢献度が高かった。HN・SC下で1番刈後に多数発生した分げつは1茎重が小さく,また,枯死割合も大きいため,古い分げつに比べて収量への貢献は少なかった。以上のことから,オーチャードグラス草地においては,秋期の分げつ発生をより多く促進するような栽培・管理法が密度の維持ならびに生産性確保に対して重要な意味を持つと考えられる。
日本草地学会の論文
1989-03-31

オーチャードグラス草地における時期別の分げつの発生・消長とその草地生産にはたす役割

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