日本短角種去勢牛の増体に及ぼす兼用草地利用の効果

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夏以降の牧草の草量,草質の低下を回避し,放牧育成牛の増体を図るため,放牧専用草地の草量,草質の低下時に兼用草地も放牧利用する条件における日本短角種去勢牛の増体を検討した。ペレニアルライグラス(Pe)放牧専用草地(0,60 ha)にPe兼用草地(0.65 ha)を組み合わせた試験区,およびPe放牧専用草地(0.60 ha)にトールフェスク(Tf)兼用草地(0.65 ha)を組み合わせた試験区を設けた。それぞれの試験区において日本短角種去勢牛4頭(入牧時の平均月齢10-11月,体重260-280kg)を放牧前期(4月下旬-7月下旬)には放牧専用草地に,後期(8月上旬-11月上旬)には放牧専用草地と兼用草地を組み合わせ交互に放牧した(前者試験区に放牧した家畜群をPe区,後者をTf区とする)。なお,兼用草地は5月下旬と6月下旬〜7月上旬に計2回,採草を行った。放牧方法は1日輪換放牧とした。3年間における前期の日増体量はPe区で0.44-0.64 kg,Tf区では0.44-0.60kgの範囲にあり,両区とも7月において増体に停滞傾向がみられた。しかし,続く後期の兼用草地への放牧の開始により増体が高まり,この期間の日増体量はPe区で0.73-079 kg,Tf区では0.52-0.76kgとなった。年間の日増体量ではPe区は0.61-0.70 kg,Tf区では0,49-0.68kgであった。兼用草地を放牧に加えたことで得られた後期の高い増体が,年間の増体を良好にしたと考えられた。とくに兼用草地の増体の効果はPe区で勝る傾向にあった。後期におけるPe兼用草地のCP含量および乾物消化率はTf兼用草地より高く維持された。また,TDN充足率もPe兼用草地において高い値を示した。これらのことが後期のPe区における家畜の増体を良好にしたものと考えられた。Pe兼用草地とTf兼用草地の採草量,牧草の個体密度について両者間には差はなかった。Peを基幹草種とした放牧専用草地と兼用草地を面積比で1:1に設定し,夏以降兼用草地を放牧に加えることにより,日本短角種去勢牛の夏-秋における増体を高め,良好な年間の日増体量が得られると考えられた。
日本草地学会の論文
1995-04-30

日本短角種去勢牛の増体に及ぼす兼用草地利用の効果

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