圃場栽培した中生・晩生熟期日本陸稲品種の根系発達程度と耐干性との関係(品種・遺伝資源)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
畑圃場で栽培した中生及び晩生の日本陸稲8品種と水稲1品種を用いて,6年にわたり成熟期の根系の発達程度を調査し,深根性が耐干性に及ぼす影響を明らかにすると共に,中晩生品種群における深根性程度の基準品種を設定した.根系の発達程度の観察には発掘法,モノリス法,コアサンプリング法の3種類の方法を用いた.1994年〜1996年は発掘法により土壌層位毎に根数と根の太さを達観で観察し,根系の最深到達深度を計測した.1996年はモノリス法により根を採取し,層位毎に根長と根の乾物重を測定した.1998年,2001年,2002年はコアサンプリング法により根を採取し,層位毎に根の乾物重を測定した.調査期間を通して,耐干性程度の異なる中生・晩生熟期の日本陸稲品種では,根系の発達程度に品種間差が認められた.特に30cmより深い層の根量は大きな品種間差が認められた.ゆめのはたもちなど耐干性が強い品種は30cmより深い層の根量が安定して多いの対し,ミズハタモチなど耐干性が弱い品種は根量が少なかった,よって,耐干性の強弱と深根性との間には明らかな関連があることが圃場条件で実証された.今回の調査結果から,中生・晩生熟期の日本陸稲品種における深根性の基準品種として,深根性ゆめのはたもち,やや深根性陸稲農林編26号,やや浅根性ミズハタモチを設定した,また,根系の調査法として,コアサンプリング法による土壌深層の根量,モノリス法による土壌深層の根量及び発掘法により直接観察した根の深さとの間にはそれぞれ正の相関関係が認められ,コアサンプリング法が簡易かつ信頼性のある根系採取法として実用的であると考えられた.
- 2007-04-05
著者
関連論文
- 飼料用水稲新品種「クサホナミ」の育成
- 低アミロース米新品種「ミルキープリンセス」の育成
- 圃場栽培した中生・晩生熟期日本陸稲品種の根系発達程度と耐干性との関係(品種・遺伝資源)
- 91 イネの食味に関与する遺伝子座の解析(組織培養・細胞工学)
- トリプトファン含量を高めた形質転換イネの特性評価
- トリプトファン含量を高めた形質転換イネの特性評価
- 稲発酵粗飼料用水稲品種「たちすがた」の育成
- 飼料用水稲品種「モミロマン」の育成
- アミロペクチン構造の差異は糯米の加工に影響を及ぼす
- 76 アミロペクチン鎖長分布と餅の硬化性の関連
- 日本在来陸稲嘉平のいもち病圃場抵抗性に関するQTLマッピング
- 日本陸稲における第4染色体のいもち病圃場抵抗性に関するQTLに強く連鎖したRFLP座の遺伝子型と抵抗性の関係
- 14 糯品種の白米粗蛋白質含量の違いが餅, ならびに, おこわの食味に及ぼす影響
- いもち病圃場抵抗性に関するQTL近傍RFLPによる日本在来陸稲の解析
- 水陸稲における還元状態での低温土中出芽性の検定法について
- 陸稲ゆめのはたもちの育種利用のための RFLP 解析
- 29 水田及び畑栽培した稲品種の気孔開度と根量
- 高度耐干性・極良食味陸稲品種「ゆめのはたもち」の育成
- 111 陸稲の耐干性と根の分布との関係
- 107 陸稲における根系と耐干性の関係
- 陸稲剛毛品種IRAT109と貧毛品種IRAT212, IAC25の正逆交雑による雑種植物の作出と剛毛性の遺伝
- イネにおける還元状態での低温土中出芽性検定法の開発と品種検索
- 陸稲関東糯172号における高度餅硬化性の遺伝子の同定
- 88 圃場で生育した陸稲とトウモロコシにおける深根の発生節位
- 30 陸稲出芽時における低水分耐性および塩素酸加里抗毒性
- 3 1988年夏の不順気象における陸稲の生育と障害型冷害 : 2,播種期と不稔発生の品種間差異
- 2 1988年夏の不順気象下における陸稲の生育と障害型冷害 : 1.茨城県下ならびに農試圃場の不稔発生状況
- 4 陸稲晩播栽培における陸稲×水稲雑種第2代の出穂期の変動
- 5 陸稲の耐冷性検定法について
- ラピッド・ビスコ・アナライザーによる陸稲糯品種の餅硬化性の評価と高度の餅硬化性を持つ陸稲品種「関東糯172号」
- 陸稲の耐干性の遺伝子源としてざんごう法により見いだされた深根性品種
- 114 陸稲育種における葉面温度による耐干性選抜法
- 113 葉表面の剛毛が陸稲の蒸散抑制に及ぼす効果
- イネトビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph10(t)の座乗領域の解析
- 精米・米飯の品種鑑別システムの開発
- 陸稲育種における耐干性研究の現状
- 多収・良質・良食味の水稲新品種「あきだわら」の育成
- 戻し交雑自殖系統(BIL)を利用した新規いもち病圃場抵抗性の検索(講演要旨,第141回講演会)
- 畑栽培した稲の根量と気孔開度
- 日本水稲品種のSSRマーカー多型に基づく分類および近縁係数と遺伝的距離との関係