日本陸稲における第4染色体のいもち病圃場抵抗性に関するQTLに強く連鎖したRFLP座の遺伝子型と抵抗性の関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本在来陸稲嘉平より見いだされたいもち病圃場抵抗性に関するQTL,qBFR4-1およびqBFR4-2は第4染色体に座乗し,非常に大きな作用を示す.本研究では,qBFR4-1,qBFR4-2に連鎖したRFLPマーカーC600とG271を用いて,日本在来陸稲品種におけるいもち病圃場抵抗性の程度とqBFR4-1,qBFR4-2の対立遺伝子の関係を見いだすことを目的とした.陸稲158品種のサザン解析と畑晩播法による葉いもち検定を行ったところ,qBFR4-1に強く連鎖したRFLPマーカー600ではその断片長から3つの対立遺伝子(C600-a,C600-b,C600-c)に分けることができた.C600-bを持つ品種は最も多く,72品種であった.各対立遺伝子を持つ品種群のいもち病圃場抵抗性程度の平均はそれぞれ2.80,2.20,0.69であり,0.1%水準で有意な差が認められた.qBFR4-2に連鎖したRFLPマーカーG271による解析では2つの対立遺伝子(G271-a,G271-b)を持つ品種群に分けられ,いもち病圃場抵抗性程度の平均はそれぞれ2.37,1.68であり,0.1%水準で有意差が認められた.これら2つのRFLP座の遺伝子型から6品種群を分けることができ,その中での抵抗性程度は,陸稲嘉平の遺伝子型であるC600-c/G271-bを示した品種群が最も強く(0.58),水稲日本晴と同じ遺伝子型であるC600-a/G271-aを示した品種群は最も抵抗性程度が低かった(2.98).一方,陸稲山稈禾は両RFLP座の解析で他の品種には見られない特異的な断片長を示し,異なる対立遺伝子の存在が示唆された.これらの結果から,日本陸稲のいもち病圃場抵抗性に関与した2つのQTLには2および3種類の主要な対立遺伝子が存在し,抵抗性程度は,これらのQTLに連鎖したRFLP座の解析により評価できることが示唆された.またMarker-assisted selectionを行う上でも本研究で使用したRFLPマーカーは有用であると考えられる.
- 日本育種学会の論文
- 2003-03-01
著者
関連論文
- 圃場栽培した中生・晩生熟期日本陸稲品種の根系発達程度と耐干性との関係(品種・遺伝資源)
- アミロペクチン構造の差異は糯米の加工に影響を及ぼす
- 76 アミロペクチン鎖長分布と餅の硬化性の関連
- 日本在来陸稲嘉平のいもち病圃場抵抗性に関するQTLマッピング
- 日本陸稲における第4染色体のいもち病圃場抵抗性に関するQTLに強く連鎖したRFLP座の遺伝子型と抵抗性の関係
- 14 糯品種の白米粗蛋白質含量の違いが餅, ならびに, おこわの食味に及ぼす影響
- いもち病圃場抵抗性に関するQTL近傍RFLPによる日本在来陸稲の解析
- 水陸稲における還元状態での低温土中出芽性の検定法について
- 陸稲ゆめのはたもちの育種利用のための RFLP 解析
- 29 水田及び畑栽培した稲品種の気孔開度と根量
- 高度耐干性・極良食味陸稲品種「ゆめのはたもち」の育成
- 111 陸稲の耐干性と根の分布との関係
- 107 陸稲における根系と耐干性の関係
- 陸稲剛毛品種IRAT109と貧毛品種IRAT212, IAC25の正逆交雑による雑種植物の作出と剛毛性の遺伝
- イネにおける還元状態での低温土中出芽性検定法の開発と品種検索
- 陸稲関東糯172号における高度餅硬化性の遺伝子の同定
- 88 圃場で生育した陸稲とトウモロコシにおける深根の発生節位
- 30 陸稲出芽時における低水分耐性および塩素酸加里抗毒性
- 3 1988年夏の不順気象における陸稲の生育と障害型冷害 : 2,播種期と不稔発生の品種間差異
- 2 1988年夏の不順気象下における陸稲の生育と障害型冷害 : 1.茨城県下ならびに農試圃場の不稔発生状況
- 4 陸稲晩播栽培における陸稲×水稲雑種第2代の出穂期の変動
- 5 陸稲の耐冷性検定法について
- 29 茨城県における小麦農林61号の高品質安定栽培法に関する研究 : 第1報 生育指標の策定と窒素施肥法
- 畑栽培した稲の根量と気孔開度