ラピッド・ビスコ・アナライザーによる陸稲糯品種の餅硬化性の評価と高度の餅硬化性を持つ陸稲品種「関東糯172号」
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概要
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主に米菓の原料として利用される陸稲の需要拡大を図るには, 品質や加工適性の優れた品種を育成する必要がある.特に, 餅生地の硬化性は製造時間の短縮につながる品質要因として重視されている.そこで, 陸稲糯品種における餅硬化性の簡易な検定法として, ラピッド・ビスコ・アナライザーを利用する方法を検討した.検定条件のうち, 内在するアミラーゼの活性を抑えるため添加する硫酸銅溶液の濃度を検討したところ, 400ppmで安定して各糊化特性を測定できた.また, 陸稲糯品種におけるラピッド・ビスコ・アナライザーの測定工程は, 餅硬化性に差のある陸稲2品種の比較から, 分析開始温度40℃, 温度勾配10℃/minの設定が最適であった.これらの検定条件を用いて, 陸稲主要11品種における餅硬化性とラピッド・ビスコ・アナライザーによって測定される糊化特性の関係を検討した.その結果, 糊化開始温度とピーク温度は餅硬化性との相関係数が他の特性値に比べて高く, 両温度を指標に餅硬化性を簡便に推定することができた.本法は精白粉3.5gと少量で分析できるため, 育種において餅硬化性の一次選抜に役立つ可能性が高いと考えられた.また, 日本在来の陸稲糯品種と育成品種を対象とした餅硬化性に関する品種の検索を実施したところ, 供試した136品種の中から従来の陸稲糯品種にはなかった高度の餅硬化性を示す陸稲品種「関東糯172号」を見出した.
- 日本作物学会の論文
- 1998-12-05
著者
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