急性期成人看護学演習において協同学習に基づく説明活動が学生に及ぼすストレスと効果
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概要
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背景 大学の看護教育では、学生が自ら学び育つ姿勢とそれをサポートする環境のあり方が重要であり、学習機能とプロセスに焦点を当てる認知科学的アプローチが適切であると考える。近年、教育時間が縮小される一方で、技術の進歩、活動領域の拡大を背景に、基礎教育で学ぶべき技術レベル、臨床能力習得への期待は増している。限られた時間で、多くの課題を学生が主体的、効果的に学習するためには一段と創意工夫した授業展開が求められる。今回、状況認知アプローチに基づく協同学習原理を取り入れ、小集団によるテーマごとの授業運営を試み、授業の学生に及ぼす影響や心理的・生理的ストレスを考察した。目的 授業を実施する学生の心理的、生理的ストレスの測定およびレポートの内容分析を通して、協同学習に基づく授業運営の学生に及ぼす負荷と効果を考察する。方法 学生が主体となって企画・運営する協同学習に、3回の繰り返し説明活動(講義および技術演習)を組み込んだ授業展開において、講義前、1回目講義終了後、2回目講義終了後、3回目講義終了後、授業終了後30分の5時点に以下の調査、測定を行う。(1)質問紙調査(日本語版STAI(State-Trait Anxiety Inventory)および緊張、不安度、講義遂行感に関する質問紙)、(2)唾液中ChromograninA (CgA)、コルチゾール測定(3)コントロールとして平常休息時の(1)、(2)測定(4)授業実施後の評価・感想レポートの提出解析 (1)5時期反復測定値の時系列的変化に対する検定(GLM:反復測定)、(2)授業前後のストレスレベルの検定(対応サンプルのt検定)、(3)授業評価・感想レポートに対するBerelson,B.による言及事項分析型内容分析。結果 講義開始前には、CgA、STAI、緊張・不安度の平均値は平常時よりも上昇し、ストレス認知の高まりが心理的、生理的レベルで示された。授業終了後30分までには有意に下降し、授業の実施による負荷は軽減された。講義の遂行可能感、遂行感は、講義の繰り返しに応じて高まり、達成感や自己有能感の獲得が窺われた。各測定時点で最も気懸かりに感じている対象は、緊張感、講義の遂行や方法に関するものから、受講者の反応や講義の評価に移行していった。授業後の評価・感想レポートの内容分析では、130の記録単位文を抽出し、「人にわかってもらう伝え方」、「伝えるために不可欠な授業者自身の理解」、「聞き手からのフィードバック」、「協同学習からの学び」など14カテゴリーに分類、命名した。結論 1.今回の協同学習に基づく説明活動は、学生のストレス認知を高めるが、3回の繰り返し講義を通して有意に下降していくことがCgA、緊張、不安度の低下により裏付けられた。2.繰り返しの講義実施により自信、達成感、自己有能感を生じることが授業遂行感の上昇により推測できた。3.協同学習、説明活動は、学生の主体的行動、集団状況の中で他者との相互機能を促進し、学生の認知的学習効果を広げ、深化させたと判断できる。
- 滋賀県立大学の論文
- 2006-06-30
著者
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