虚血性心疾患および脳血管疾患の社会経済的格差に関する疫学研究成果

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概要

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冠動脈疾患と脳血管疾患,およびそのリスクファクターの社会経済的格差に関する研究を概括した。ほとんどの研究は循環器疾患の死亡率,罹患率に社会経済的格差が存在すること,すなわち社会経済的低位のものは死亡率,罹患率が高いことを示していた。また,循環器疾患の危険因子である喫煙,血圧,高脂血症,糖尿病,メタボリックシンドロームなどのリスクにも,社会経済的格差があるとの報告がみられた。しかし,これらの危険因子を調整しても,心疾患,脳血管疾患死亡率や罹患率の格差は存在し,社会経済的要因は独立した危険因子であることが示唆された。わが国においても社会経済的状況による健康格差が認められたが,格差の程度は欧米に比べて小さく,心疾患やその危険因子の健康格差の方向性は欧米の逆であった。循環器疾患の予防が健康政策の最重要課題になっている現在,我が国における健康の社会経済的格差について明らかにし,対策に反映させていく必要があると考えられる。
金沢医科大学の論文

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