山羊・犬の口腔腺の微細構造について : II.下顎腺

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成熟した山羊および犬の下顎腺の腺胞, 介在部および分泌管について光顕ならびに電顕的に観察した.1.山羊の腺胞は, 大多数の粘液腺胞と少数の漿粘液細胞である漿液性細胞からなる半月によって構成され, 前者は, PASおよびABに強く反応し, 後者は, 酸好性顆粒を有し, PASに中程度に反応しABに弱く反応した.電顕的には, 粘液細胞は電子密度の低い粘液顆粒を有し, 細胞間分泌細管は認められなかった.漿液性細胞は, 電子密度の異なる3種の分泌顆粒を有し, 細胞間分泌細管は比較的よく発達していた.2.犬の腺胞は, 大多数の粘液腺胞と少数の漿粘液細胞である漿液性細胞からなる半月によって構成され, 前者は, PASおよびABに強く反応し, 後者は, PASおよびABに中程度に反応した.電顕的に粘液細胞は電子密度の低い粘液顆粒を有し, 細胞間分泌細管は認められなかった.また, 細胞間に神経終末がごくまれに認められた.漿液性細胞は, 粘液細胞の顆粒とほぼ性状の変わらない小さな分泌顆粒と電子密度の高い構造物を有しており, 粘液細胞に近い漿粘液細胞であった.また, 細胞間分泌細管が認められた.3.山羊および犬の介在部は, PAS陽性, AB陰性の立方上皮で, 電顕的に山羊では, 明調細胞と明るい基底細胞, 犬では, 明調細胞と暗調細胞さらに明るい基底細胞がみられた.これらの細胞には, いずれも分泌顆粒と確認できるものは認められなかった.4.山羊および犬の分泌管は, PAS陽性, AB陰性の円柱上皮細胞で, 明調細胞と少数の暗調細胞が認められた.これらの細胞には, いずれも明らかに分泌顆粒と断言できるものは認められなかった.なお, 犬の明調細胞の頂部には, 桿状あるいはこん棒状の構造物をもつものも認められた.5.筋上皮細胞は, 山羊および犬の下顎腺の腺胞および介在部に認められた.
鹿児島大学の論文
1976-03-20

山羊・犬の口腔腺の微細構造について : II.下顎腺

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