マウス乳腺の脂肪組織に関する形態学的研究 : I.乳腺脂肪組織の生後発達 : 特に腹腔内脂肪組織との比較

概要

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乳腺の脂肪組織の生後発達を形態学的に明らかにするために, 生後10〜90日齢のICR-JCL雌マウス(74例)を用い, 乳腺の脂肪組織を組織学的および計測学的に観察し, 腹腔内の脂肪組織と比較検討した.1.乳腺の重量は, 生後10日齢で約18.5mg, 30日齢で約34.5mgと徐々に増加したが, 50日齢では約119mgと急激な増加がみられ, 以後各日齢間に差はなかった.乳腺域の大きさは, 乳腺重量と同様の傾向を示し, また, 乳腺域は生後50日齢で, 確立されていることがわかった.2.乳腺の脂肪組織は, 生後10日齢ですでに存在し, 生後30日齢までは, unilocularとmultilocular脂肪細胞の二種からなり, 腹腔内のものでも同様であったが, 腹腔内では, multilocular脂肪細胞が比較的多かった.30〜50日齢の乳腺の脂肪組織は, 急激に発達し, 50日齢以降は, ほとんどunilocular脂肪細胞からなっていたが, 腸間膜のものには, 部分的にmultilocular脂肪細胞がみられた.3.脂肪細胞の大きさは, 生後10日齢の乳腺では, 約34.6μ×24.6μで, 腹腔内のものより大きかった.30〜50日齢では, 乳腺および腹腔内の脂肪細胞は, 共に急激に大きくなり(約53.6μ×36.4μ), 50日齢以降, 各日齢間に差はなかったが, しかし, 腸間膜のものは小さかった.4.組織化学的検索では, とくに四部位の脂肪組織に部位, 日齢間共に差異は認められず, すべて中性脂肪を呈した.5.以上の観察結果から, 乳腺の脂肪組織は, 生後30〜50日齢にかけて, 実質の発達に先行して急激に発達し, 乳腺実質のベースとなっていることが示唆された.子宮周囲および卵巣周囲の脂肪組織は, 乳腺と比べ発達に時間的な差はあるが, 同様な形態をしていた.しかし, 腸間膜のものは, 前三者と形態的に異っていることがわかった.
鹿児島大学の論文
1976-03-20

マウス乳腺の脂肪組織に関する形態学的研究 : I.乳腺脂肪組織の生後発達 : 特に腹腔内脂肪組織との比較

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