乳牛の耐暑性の遺伝に関する統計的研究 : I.乳牛の暑熱に対する順応性について

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乳牛が, 夏季期間中の暑熱に対して順応するかどうかを明らかにするため, ホルスタイン成牝牛8頭を用い, 夏季暑熱時の体温・脈搏数・呼吸数及び体重・乳量を, 気温・相対湿度とともに測定し, 体重はt検定により, 他の測定値は経過日数に対する回帰分析によつて分析検討した.その結果は次の通りである.1.環境温度に関しては, 日数の経過にともない, 乳牛に悪影響を与える傾向にあつた.すなわち, 最高, 最低および午前, 午後の測定時の気温は, いずれも, 夏季実験期間中, 日数に対する回帰が有意でなく, 一方湿度は次第に上昇していた.2.このような環境状態であつたにも拘らず, 体温は日数の経過にともない有意に減少し, 正常値に近ずいた.また, 個体の回帰間にも有意の差が認められた.3.呼吸数には増加の傾向があつたが, 有意差は午後の測定値のみに見出され, 個体の回帰間には, 午前・午後のいずれにも, 有意の差が認められた.4.実験期間の推移にともない, 脈博数は有意に減少したが, 個体の回帰間には有意差は認められなかつた.5.乳量は日数の経過とともに有意に減少し, 体重も7月より8月に下つたが, これらの減少は暑熱の直接的影響によるものか, あるいは間接的影響によるものか, 明らかでなかつた.6.体温を, 暑熱に対する反応の指標とすれば, 乳牛は夏季高温に順応し得るということができ, また, この現象に個体間の差が大きく認められたことから, 順応性の高い個体を育種することも可能であると考えられる.
鹿児島大学の論文
1963-03-25

乳牛の耐暑性の遺伝に関する統計的研究 : I.乳牛の暑熱に対する順応性について

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