キタクシノハクモヒトデ(Ophiura sarsii Lutken,1854)の産状と古生態 : 千葉県の更新統,市宿層(上総層群)からの化石クモヒトデ
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概要
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房総半島の中央部に分布する下部〜中部更新統の上総層群・市宿層より,密集した産状をもった500個体以上のクモヒトデ化石が発見された。これらのクモヒトデ化石は,現生種キタクシノハクモヒトデ(Ophiura sarsii Lutken, 1854)に同定されている。キタクシノハクモヒトデ化石は幼体の時期にはシルトまたは極細粒砂の海底に生息していたが,大きくなるにしたがって極粗粒砂の海底に移動していった個体も存在したと推定される。また,流速の大きな極粗粒砂底上で生息したクモヒトデ化石の生息密度と個体の平均の大きさは,流速の小さなシルトまたは極細粒砂底上で生息したクモヒトデ化石のものより大きい。キタクシノハクモヒトデ化石は共産する貝化石などから考えて,寒流の影響をわずかに受けた暖流が卓越する下部浅海帯に生息していたと思われる。現生種キタクシノハクモヒトデは寒流種で,日本周辺では銚子付近を南限とし,深度200〜600mに密集した群集をつくって生息している。したがって,化石種は現生種よりやや浅い海底に生息していたことになる。また,この化石クモヒトデの生息密度は,同現生種の生息密度より大きい値を示している。
- 地学団体研究会の論文
- 1995-01-25
著者
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石田 吉明
都立千歳丘高校
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石田 吉明
Hitotsubashi Senior High School
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石田 吉明
都立赤羽商業高校
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石田 吉明
Hitotsubashi High School
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石田 吉明
柴田松太郎さんに学ぶ会世話人会
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