外来種フタモンテントウと在来捕食性テントウムシとの種間関係について

概要

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近年外来種問題が注目され、在来生態系に与える影響が懸念されている。日本ではこの10年間で約10種の外来テントウムシが記録されており、ヨーロッパ原産で捕食性テントウムシのフタモンテントウは1993年に大阪南港で日本で初めて発見された。本種は在来捕食性テントウムシのナミテントウとダンダラテントウと共にトウカエデ等に生息しており、ナミテントウの幼虫がフタモンテントウの前蛹や蛹を捕食するのがしばしば観察されている。室内実験ではナミテントウの幼虫は餌の量に関わらずフタモンテントウの幼虫を捕食し、ダンダラテントウの幼虫は餌が不足した場合のみフタモンテントウの幼虫を捕食した。しかし、フタモンテントウの幼虫は餌が不足した場合でもこれら2種の在来種を捕食することはなかった。すなわち、種間競争において在来種はフタモンテントウより優位だが、野外では互いの出現期のずれや生活史の相違により種間競争が緩和され、これら3種の捕食性テントウムシの共存が可能になっていることが示唆された。
2006-08-07