外的環境条件が稲作生産に与える効果に関する計量的分析 : 近畿地域を対象として

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本論文の目的は,近畿地域を対象として,ほぼ稲作の中型技術体系が確立した以降において,外的環境条件が近畿地域の稲作生産にどのような影響を与えつつ変動させてきたか,そのメカニズムを同時方程式モデルを適用し,計量的に解明することにある.分析によって,近畿地域の稲作生産に農業基盤整備がどの程度の効果をもつか,またその整備が,農家(米生産者)の兼業行動にどのような影響を及ぼすかを明らかにする.分析結果は,以下の通り要約される.1)全体として,農業基盤整備への投資は,石油ショックと円高による要素価格の変動と連動して,主に米生産費の変化に影響を与える一方,減反政策による米減産や米価政策の転換と関連して,主として稲作の生産額の増減を左右する.2)最初年限りの農業基盤整備への追加投資は,農業機械の普及とあいまって,労働時間の節減に効果を与え,結果的に第2種兼業農家数を増加させることとなった.このように,農業内部の近代化による労働時間の節約は農家兼業化を促進することとなったが,労働節約の効果を維持するためには,連続的な投資が適当であることが判明した.3)農業基盤整備への投資が地域の稲作生産に与える種々の累積効果は,当初に,期待したほどのものではなかった.この原因としては,規模拡大の緩慢が,程度の差こそあれ,農業基盤整備により形成された潜在生産能力を十分に発揮することを妨げたこと,また,景気変動による農業交易条件の変化も,最終的に種々の累積効果に影響を及ぼしたこと,等が挙げられる.従って現在の地域稲作生産構造を変化させる必要性があること,等が明らかにされた.
千葉大学の論文
2000-03-31

外的環境条件が稲作生産に与える効果に関する計量的分析 : 近畿地域を対象として

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