食料需要変化の日韓比較
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概要
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本研究の目的は,日本と韓国における食料需要の変化を分析して,経済発展段階に基づく変化の共通性と食習慣に基づく異質性を明らかにすることである.われわれは,経済発展過程を次の3つの段階に区分する.すなわち第1段階は1963〜74年,第2段階は1975〜82年,第3段階は1983〜92年である.計測結果は次のとおりである.1)国民の栄養供給量は,カロリー,蛋白質,脂肪のすべてにおいて,韓国が日本に比べて劣っていた.何故ならば前者の所得水準は後者よりも著しく低かったからである.これらの栄養供給量は,経済の発展に伴って両国で増加したが,それぞれの栄養素の供給量増加は,すべてが日本よりも韓国でより大きかった.その結果栄養供給量における両国間の格差は,第3期には著しく縮小した.2)日本と韓国両国では,肉類,乳製品,鶏卵,油脂類,酒類の1人当たり消費量は,すべて1963年から92年までの間に増加したが,米類,その他穀類,魚介類の1人当たり消費量は,初期に増加して後期に減少した.他方野菜,果実,砂糖類の1人当たり消費量は,日本では初期に増加して後期に減少したが,韓国では一貫して増加傾向を示してきた.しかし日本におけるに肉類,鶏卵,乳製品,砂糖類の1人当たり消費量は,最近の10年以上にわたって,韓国よりも多いのに対して,米,その他穀類,豆類の1人当たり消費量は,逆に日本におけるよりも韓国の方が多い.3)日本と韓国の食料需要は,アジアとヨーロッパの複合タイプであるが,日本の食料需要はヨーロッパ型により近く,韓国の食料需要はアジア型により近い.ヨーロッパ型の食料需要は,肉類,乳製品,鶏卵,油脂類等の消費量が多くて,穀類,魚介類の消費量が少ないという点に特徴がある.アジア型の食料需要は,米,その他穀類,魚介類,野菜の消費量が多くて,畜産物(anamal products)と油脂(oils and fats)の消費量が少ないという点に特徴がある.4)食料需要関数の計測によれば,ほとんどの品目の所得弾性値は,すべての段階において,日本よりも韓国の方が大きい.また肉類,乳卵類の所得弾性値は両国で高い値を示す.しかし野菜,果実,魚介類の所得弾性値は,日本ではマイナスを示すのに対し,韓国ではプラスである.なお大部分の品目の価格弾性値は,両国で年次の経過に伴って低下する傾向を示している.また肉類,乳卵類の価格弾性値は韓国よりも日本の方が高いのに対して,油脂の価格弾性値は,逆に日本よりも韓国の方が高い.
- 千葉大学の論文
- 1995-03-30
著者
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