外科的治療の対象となる脊髄疾患におけるBrown-Sequard症候群の検討 : その臨床的意義について

概要

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Brown-Sequard症候群(BSS)は,臨床的側面より二つに大別される。一つは脊髄外傷等による脊髄半側切断例であり,他の一つは進行する脊髄障害の初期像としてのBSSである。後者においては典型的神経症状を呈さない例もあるが脊髄疾患の早期診断-治療という臨床的観点からは前者より意義が高い。後者に属する症例の臨床的検討は過去において成されておらず,今回当科にて経験した12例の臨床像を検討した。神経学的に脊髄半側障害を示した症例は約半数であり,半数においては半側主体の両側性脊髄障害を呈した。Queckenstedt's testにてブロックのない例を5例に認め,それらの髄液蛋白の増加は軽度であった。このような場合には外科的治療の対象となる疾患を否定しがちであるが,検討の結果,BSSを呈しうる脊髄硬塞,多発性硬化症の可能性は極めて低かった。すなわち,BSS症例においては,外科的治療の対象となる脊髄疾患を充分にrule outする必要があると考えられた。
北里大学の論文
1979-02-28