電気眼振計(ENG)記録に認められる8 or 9 Hz波について

概要

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ENG検査の水平眼運動記録波形に8〜9Hzの波が認められることがあるが,その波は,異常眼運動か,脳波の誘導されたものか,あるいはその他のartifactなのか判読困難なものである。そこで,著者らは8〜9Hz波の本態を検索するために過去約一年間におけるENG記録1620例を調査し,その発現条件,波形の特徴を分析するとともに,出現頻度と年齢,特定疾患との関連性などについて検討し次の結果を得た。1)8〜9Hz波は,pendular様波形を呈し,主として水平記録上に認められる。2)8〜9Hz波は,開眼,閉眼,遮眼下のいずれにおいても出現するが,閉眼時には減少もしくは消失の傾向にある。3)各年代別8〜9Hz波出現頻度は,差がみられ特に50才以上になると著明な出現率の上昇がみられる(p<0.01)。4)8〜9Hz波出現と中枢性疾患との間には,関連性が認められ,60才以上の高年齢者群には,脳梗塞,頭蓋内出血,脳動脈硬化症の3疾患の頻度が高い(p<0.01)。
北里大学の論文
1980-02-29