出水平野の気象調査(鹿児島県出水平野におけるツル類の基礎調査 第14報) : (1)気温・風向・風速の年変化について
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概要
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我々は, ツル渡来地である児島県出水平野における気象調査を実施中である。今回は, 1986年だけの観測値をもとに, 推測の域を出ないが, 出水平野の気象年変化について概略を記述した。1) 出水平野における気温は, 全般的に温暖で, 月平均気温は, 最寒期の1月で5.9℃, 最暖期の8月で28.0℃となっていた。2) 近接する阿久根測候所より, 最高気温の月平均値は月別で0.4〜1.2℃高いが, 反対に最低気温の月平均値は8・9月を除いて, 月別で0.4〜1.0℃低くなり, 結局, 月平均気温は, 月別で0.4〜1.2℃とわずかに高くなっていた。3) 出水平野における月平均気温は, 鹿児島より月別で0.1〜1.2℃低くい程度であったが, 大口より月別で1.2〜4.2℃ときわめて高くなっていた。4) 当地より北の地方と比較し, 最低気温の月平均値で, 東京より, わずかに高く月別で0.1〜2.4℃の差であったが, 日本列島最北端の稚内より, 著しく高く, 月別で7.3〜11.9℃の差となっていた。このような差は, 北に行くほど大きく, 夏より冬季の方が大きくあらわれる傾向が見られた。6) また, 寒暖日の出現月を比べても, 同様の傾向が見られた。7) 月別風向は, 11〜4月に北西〜北東の冬の季節風が, 6〜8月に南から西南西の夏の季節風が卓越していた。8) 全年の卓越風向は, 北東風となっていた。9) 月別平均風速は, 10〜3月の冬季を中心に強く, 夏季に小さくなっていた。10) 瞬間風速による強風は, 台風の影響により, 夏, 秋にも見られた。11) 以上の出水平野における気象の年変化は, ツル類とのかかわり合がきわめて大きいと見られるので, 今後も, 詳しい資料を蓄積したいと考えている。
- 国立科学博物館の論文
- 1988-03-25
著者
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