自然教育園における降下ばいじんおよび土壌中の重金属

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自然教育園土壌に含まれる重金属の給源として降下ばいじんを考え, その主要な発生源は自動車の道路交通であることを明らかにした。1) 自然教育園において, 植相を異にし, 道路からの距離も異なる7地点の土壌の重金属含有率を測定した。表層土壌の重金属含有率はいずれも高く.銅が141〜209ppm, 亜鉛が203〜1,110ppm, 鉛が83〜662ppm, カドミウムが0.09〜1.73ppmを示した。含有率の高低と道路からの遠近とは相関がなかった。2) 7地点中6地点で降下ばいじんを捕集したが, 得られたばいじん量は0.34〜3.18mg/cm^2/月の範囲であり, 植相により異なった。樹葉の繁茂度の高いシイ林が最多で, 草地は最少であった。3)ばいじん中には, 銅148〜332ppm, 亜鉛631〜3,690ppm, 鉛180〜795ppm, カドミウム2.55〜7.93ppmが含まれていたが, いずれも道路に近接する地点ほど高い傾向が明瞭であった。4) 1979年のばいじん中の亜鉛, 鉛, カドミウム含有率は10年前に比べ低下しており, 都心部の自動車交通量の減少と排気ガス規制の強化の効果と考えられた。5) ばいじんによる重金属付与量は, ばいじん中の重金属含有率だけでなく, ばいじん捕集量の多少が大きく影響し, シイ林と高速道路際で多く, 草地で少なかった。この傾向は土壌の重金属含有率の地点間の傾向と良い対応を示した。以上の点から, 自然教育園土壌中に多く含まれている重金属は, 主として自動車の道路交通により発生したばいじんによって付与されたものと考えられた。
国立科学博物館の論文
1980-03-25

自然教育園における降下ばいじんおよび土壌中の重金属

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