ホテイアオイの水抽出物および枯死・分解物の植物生育阻害作用

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防除後のホテイアオイの枯死・分解が水質に及ぼす影響として,これまで水質の理化学的変化について明らかにしてきたが,枯死分解過程での溶脱物質の植物生理活性も重要な検討事項であると考えられる。そこで本実験では,ホテイアオイ生体の水抽出物ならびに枯死・分解過程で演出する物質の生育阻害活性について,アガマルダイコンを用いて検定した。まず,生植物体については,器官ごとに分け常温で蒸留水と混合・摩細し,ろ液を濃度3段階に調整して,シャーレ内でのダイコンの発芽,生育の検定に供した。25℃,1,000ルクスの条件下で96時間置いた結果,葉,根茎及び全植物体の抽出液高濃度区において,発芽及び幼根伸長が有意に阻害された。根の抽出液には阻害作用はみとめられなかった(Table 1.)。枯死・分解過程における演出物の溶液の作成は次のように行った。すなわち,器官ごとに細断した生体を,蒸留水及び3.7×10^6Mの2,4-Dジメチノレアミン溶液に浸漬して,25℃暗黒下で8週間分解させた。滲出液は経時的に採取し,さきの実験と同様の方法で検定した。蒸留水滲出液ではダイコンの発芽はわずかに抑えられたが,幼根,胚軸の伸長阻害はほとんどみとめられなかった。一方,2,4-D溶液滲出の場合には,幼根,胚軸ともに萎縮現象を呈した。しかしながら,この2,4-D活性は,ホテイアオイの根を用いた場合6週間以上の浸漬で消失した。ダイコン実生の乾物重は,蒸留水,2,4-D溶液のいずれの滲出液でも減少する便向を示し,これは特に後者において顕著であったが,8週間の浸漬で回復した(以上Fig. 1〜4)。
1982-10-26

ホテイアオイの水抽出物および枯死・分解物の植物生育阻害作用

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