果樹園の雑草管理に関する基礎研究 : 除草剤処理による雑草植生の変遷

概要

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1.果樹園の雑草管理に関する研究の一環として,数種の除草剤処理が下草の植生と地表の状態に及ぼす影響を,主として平坦地モモ園において調査した。2.1年次夏季および2年次春季の連続2回の除草剤処理によって夏草植生に明らかな差異を生じたが,それはイネ科雑草およびクローバーの被度を比較した場合にとくに顕著にみとめられた。すなわち,DCPA・NAC処理区およびDCMU・ATA処理区では前者が,Pa-raquat処理区では後者が増加した。一方,asu1am処理区ではどちらの発生,再生も抑えられた。また車種数は,いずれの除草剤区でも対照としての刈取区よりも減少し,2,3の優占車種の発育ステージにも,除草剤区と刈取区の間で差がみとめられた。3.夏季の除草剤処理後の地表の状態を観察したところ,ほとんどの除草剤区において1か月後には裸地と雑草繁茂部分が不均一に分布しているのがみとめられた。ただしasulam区では枯草による被覆が2か月以上も維持された。同区におけるこの状態は,雑草の発生,再生を抑制しただけでなく,土壌湿度を裸地同様に高く,地温を雑草繁茂下よりも低く保持した。なお,春季処理では,いずれの除草剤区でも枯草が一時敷草状となって地表を被った。4.植生変遷の実例として,2,3の除草剤の数年間の連用によって多年生雑草が優占化した一ミカン園の下草が,年間2回のasulam処理により,除草剤連用前と同様な一年生雑草の群落に変化することがみとめられた。
1974-03-25

果樹園の雑草管理に関する基礎研究 : 除草剤処理による雑草植生の変遷

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