親植物に対する窒素施用量の差異がオモダカ塊茎の萌芽に及ぼす影響のクローン間差異について
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概要
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本研究は、京都府南部の6地域の水田から採取した19クローンのオモダカを 0、 8、 16および32kg/10a(それぞれ0N、 8N、 16N、および32N区と略記する)の4窒素施用条件下で栽培し、得られた塊茎の萌芽性をクローン別に調査したものである。1981年12月上旬に掘り上げた塊茎を約70日問5℃湿潤状態で保存し、1982年2月19日に1クローンの1窒素施用区につき15から30塊茎をガラス温室内の小さく区画されたバット(1.7×1.7×2.7cm)に個体別に置床し、実験終了まで3cmの水深とした。萌芽までの日数は各塊茎毎に調査し、萌芽後塊茎は直ちに80℃で乾燥させ、重量を測定した。親植物に対する窒素施用量の差異は、いずれのクローン由来の塊茎の萌芽日数にも大きな影響を及ぼした。特に、32N区では8N区に比べて著しく萌芽日数が短縮した。窒素に対する反応に基づいて19クローンは次の4群に分けられた。A群:32N区の塊茎のみが8N区の塊茎より早く萌芽した。B群:0N区および32N区の塊茎萌芽日数が8N区より短くなった。C群:0N区、16N区および32N区の塊茎の萌芽が8N区より早くたった。D群:その他。また、親植物に対する窒素施用量が塊茎の萌芽日数の頻度分布に及ぼす影響にも大きなクローン間差異が認められた。A群では32N区の塊茎萌芽が他の3つの区に比べ早くかつ萌芽まで日数の変異が小さかった。B群の0N区の塊茎萌芽は8N区および16N区に比べ早く、また、32N区の塊茎萌芽が4区中最も早くかつ萌芽まで日数の変異が小さかった。C群の8N区における塊茎萌芽は長期間にわたっていたが、他の3区では8N区に比べより早くかつ変異が小さかった。塊茎の乾物重や乾物率と萌芽日数との関係もクローン間で差異があり、この関係における窒素反応もクローン間で異なっていた。クローンNo.1の塊華萌芽日数は塊茎の乾物重および乾物率の増加にともない増加した。そして、この関係は窒素施用量の差異により影響を受けた。このような関係はクローンNo. 5、 10、 12および16では認められなかった。
- 日本雑草学会の論文
- 1987-10-30
著者
-
植木 邦和
京都大学農学部
-
植木 邦和
京都大・農
-
小林 央往
京都大学大学院農学研究科
-
小林 央往
京都大学農学部
-
山河 重弥
塩野義製薬 (株) 油日ラボラトリーズ
-
井手 欽也
塩野義製薬 (株) 油日ラボラトリーズ
-
山河 重弥
文部科学省初等中等教育局
-
小林 央住
京都大学大学院農学研究科
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