日本顎口虫の幼虫に対する哺乳動物宿主の発見および齧歯類と食虫類における幼虫の寄生状況
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概要
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野生小哺乳類における日本顎口虫の幼虫寄生を知る目的で, 1993年9月-1995年11月の期間に青森県東部の浸淫地で齧歯類3種と食虫類2種からなる計313匹を検索した. 日本顎口虫の幼虫寄生はドブネズミとカワネズミの2種に認められ, 寄生率は前者が27.2%および後者が72.7%という極めて高い値であった. 寄生数はドブネズミで3-10虫(平均6.0)およびカワネズミで2-40虫(10.6)であり, 総計273虫が検出された. ドブネズネミの幼虫のすべて(18虫)とカワネズミの幼虫の大多数(216/255虫: 82.4%)は筋肉から得られ, 後者の筋肉には多数の被嚢している幼虫が観察された. 形態学的に今回のすべての幼虫は日本顎口虫第3後期幼虫(AdL3)と同定された. それらのAdL3は自然感染の冷血動物から報告されているものより大きい傾向にあり, 体長1,056-2,110μmであった. 形態的に変性や死滅を示すAdL3は観察されなかった. 以上の結果から, ドブネズミとカワネズミは日本顎口虫AdL3の寄生に対して高い感受性があり, 宿主としての好適な性質を備えていることが示唆された. また, それら動物は日本顎口虫の生活環における好都合な待機宿主であると考えられた. 本報告は日本顎口虫AdL3の自然感染を確認したドブネズミ(齧歯類)とカワネズミ(食虫類)に関する最初の記録である.
- 1996-09-25
著者
-
吉川 博康
北里大学獣医畜産学部獣医病理学講座
-
吉川 尭
北里大学獣医病理学教室
-
小山田 敏文
北里大学獣医学部
-
小山田 敏文
北里大学 獣医学部
-
小山田 敏文
北里大獣医畜産獣医病理
-
小山田 敏文
北里大学 獣医病理
-
工藤 上
北里大学獣医畜産学部獣医寄生虫学教室
-
小山田 隆
北里大学獣医学部獣医寄生虫学
-
吉川 堯
北里大学畜産学部家畜病理学教室
-
吉川 博康
北里大学獣医畜産学部
-
吉川 尭
北里大学獣医畜産学部
-
吉川 尭
酪農学園大学家畜微生物学教室
-
吉川 尭
北里大 獣医畜産
-
Yoshikawa H
Kitasato Univ. Aomori Jpn
-
小林 弘明
北里大学獣医畜産学部獣医寄生虫学教室
-
金銅 達也
北里大学獣医畜産学部獣医寄生虫学教室
-
小山田 敏文
Department Of Veterinary Pathology School Of Veterinary Medicine And Animal Sciences Kitasato Univer
-
工藤 上
北里大学獣医畜産学部獣医寄生虫学研究室
-
吉川 博康
北里大 獣医畜産
-
吉川 博康
北里大学獣医学部
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