乳牛の移転が生産, 生理および行動反応に及ぼす影響

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農場移転に伴う乳牛の移転がその生産, 生理および行動反応にもたらす影響について, 移転前7日間および移転後14日間にわたって観察を行った。1)飼料の乾物摂取量(観察頭数, n=11)は移転直後に減少し, 移転後5日目までには移転前の摂取量にまで回復した。しかし, 泌乳末期の乳牛において移転後12日目から再び減少した。乳量(n=11)も乾物摂取量と同様な変化過程を示したが, 乳量の少ない牛では移転後の乳量が減少する時により大きく乳量が減少し, 乳量の比較的多い牛では移転後の乳量が回復する時に移転前以上の乳量となった。体重(n=11)は, 移転直後より10日間にわたって減少した。2)呼吸数(n=4)と直腸温(n=4)は, 共に環境温度と同様な変化過程を示し, 移転後に低下した。心拍数(n=4)は移転後1〜4日の間に8時の測定値において顕著に増加した。3)血漿中遊離脂肪酸(n=3)およびグルコース(n=3)の各濃度は, 移転後に共に増加した。血漿中コルチゾール(n=3), アドレナリン(n=3)およびノルアドレナリン(n=3)の各濃度に, 移転前後における有意な変化は見られなかった。4)午前の搾乳時のミルキングパーラーへの入室順位(n=12)は, 移転直後より14日間を通して大きく変動した。また, 移転後1日目の午前の搾乳時には, パーラー内での排糞尿が多発し, 排糞尿は午前と午後の搾乳時に共通して14日間を通してしばしば見られた。移転の影響は, 移転後の短期間内に多くの牛に共通して一過性に発現が認められる影響と, 行動反応に観察されたように継続的な作用の後に, 泌乳末期の牛において再度の乳量の低下として発現が認められる影響との2面性を有するものと推察された。しかしながら, このような影響と生理反応および血液性状との関係は必ずしも明瞭なものではなかった。
日本家畜管理学会の論文
1987-10-15

乳牛の移転が生産, 生理および行動反応に及ぼす影響

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