産卵鶏の体温,呼吸数,心拍数ならびに血漿中の脂質,蛋白質およびグルコース濃度に及ぼす短期暑熱感作の影響

概要

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暑熱順化過程における物質代謝を検索するために,20°C恒温環境下で飼育した約270日齢の産卵中の市販鶏を35°C恒温に3日間暴露し,採食量,体温,呼吸数,心拍数ならびに血漿中脂質,蛋白質およびグルコース濃度を,経時•経日的に測定した,また,35°C暴露の間に低下した採食量の影響を捨象するために,20°C恒温環境下で飼料摂取量を制限した実験区において,同様の測定を行なった.1) 暑熱暴露1日に低下した日採食量は,1時間毎の採食量の低下を伴いながら暴響3日には安定した.2) 体温は暴露4時間までに,呼吸数は暴露8時間までに頂上値に達した後,低下を続けて暴露3日には安定した.心拍数は暴露3日間とも低い水準を推移した.3) 血漿中尿酸,コレステロールエステル,リン脂質およびβ-リポ蛋白濃度は暴露3日間および暴露後2日間にわたって低い値を示した.これらの血漿中成分の変化は,20°C環境下で飼料摂取量を制限した実験区での結果と異なった.以上の結果,暑熱への順化過程では,体温調節性の生理,行動反応だけではなく,血漿中の脂質や尿酸濃度に変化が認められ,暑熱の影響を解析するためには,物質の代謝過程に関する情報も必要であると考えられた.
社団法人日本畜産学会の論文