黒毛和種繁殖牛の心拍数および心拍数と熱発生量との関係について

概要

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黒毛和種繁殖牛20頭の心拍数(HR)を年4回, 終日測定を行ない, 繁殖周期とHRの関係を明らかにするとともに, 同牛のうち延べ12頭について, HRと熱発生量(HP)の関係を調べ, HRによるHP推定方法について検討した。1)妊娠前から妊娠中期までのHRは, 最も低いレベルにあり, 妊娠進行に伴うHRの漸増は, 分娩前150日前後から始まり分娩時まで持続し, HRは分娩前に最高レベルに達した。分娩後のHRは, 分娩前に比べ明らかに減少するが, 泌乳期間中は比較的高レベルで持続した。2)妊娠進行に伴うHRの増加は, 胎子の成長と関係し, また分娩前30日からの急増は, この間の増し飼いの影響もプラスされた変化と考えられた。分娩後持続した高レベルのHRは泌乳期間の増し飼いと一致し, 栄養摂取の効果と考えられた。またHRのレベルは給与飼料の種類で異なり, 高品質粗飼料(牧草の青刈り, またはそのサイージ)給与区の平均HRは, いずれの繁殖周期区においても, 低品質粗飼料(稲わら)給与区に比べ高レベルにあった。3)HRとHPとの高い相関は, どの個体にも, またどの繁殖周期区においても認められ, その推定誤差は平均±6.86%で, 繁殖牛においてもHRからHPを推定できることが示された。4)直線回帰式の係数には, 有意な個体差も繁殖周期に伴う定形的変化も認められなかった。しかし, 定数は各繁殖周期区間で有意に異なり, HRとHPの関係は繁殖周期に伴う特徴的な変化を示した。5)したがって黒毛和種繁殖牛で, HRからHPの推定を行なうには, 少なくとも妊娠前-妊娠中期, 妊娠中期-末期, 妊娠末期および分娩後の泌乳期に区分されねばならないと考えられた。6)黒毛和種繁殖牛の妊娠前-妊娠中期の1群のHRから群のHPを推定する関係式を提示し, これまでの熱発生量に関する研究成果と比較しながら考察した。
1985-03-15

黒毛和種繁殖牛の心拍数および心拍数と熱発生量との関係について

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