豚の水分蒸散量, 呼吸数, 直腸温および皮膚温に及ぼす環境温度と放射熱負荷の影響

概要

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豚の水分蒸散量、呼吸数、心拍数、直腸温および尾部皮膚温に及ぼす22.5から32.5℃までの環境温度と放射熱の影響を、放射熱無負荷区と負荷区を設け、育成豚4頭を用いて検討した。水分蒸散量(Y)は環境温度(X)の上昇にともない増加傾向を示し、環境温度との相関は有意(p<0.01)ではあったが、測定値が大きく変動したために相関係数(Y=0.32+0.11X、 r=0.33)は低かった。呼吸数、直腸温および尾部皮膚温は、環境温度の上昇に伴い明瞭な増加・上昇を示し、水分蒸散量とこれらの生理反応との相関はいずれも有意(p<0.01)であった。放射熱の負荷により環境温度は2〜3℃上昇し、この上昇に伴い水分蒸散量および各生理反応にも増加・上昇が見られた。しかしながら、放射熱負荷時の各生理反応では、無負荷時よりやや低い水準が見られた。また、放射熱の負荷により呼吸数の増加に因らない水分蒸散量の増加が生じることが示唆された。環境温度による熱負荷は主に呼吸気道からの蒸散を増加させ、放射熱負荷は皮膚からの蒸散を促すものと推察された。日本家畜管理研究会誌、26(3) : 89-95.1991. 1990年10月23日受理
日本家畜管理学会の論文
1991-02-25