試験用昆虫としてのワモンゴキブリ 1 齢幼虫の利用
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概要
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ワモンゴキブリの1令幼虫はガラス等の垂直面を登ることが出来ず扱いやすい.また小形であるので研究目的によつては便利に使える可能性がある.そこでその生産と殺虫試験材料としての利用について検討した結果は次の通りである.1) 本種の雌成虫は長期間生存し, その間多くの卵鞘を産みつづける.多数の成虫よりなるコロニーを次々と作り, その中で生産される卵鞘を定期的(27℃で30日位の間隔で)に集めふ化する幼虫を1〜4日毎にとり出せば, 日令のそろつた1令幼虫を常に多数入手できる。2) 卵鞘からの幼虫のふ化には100%R・H近い高湿度が必要である. 53%および73%R・Hの条件下でも長期間保たれればふ化卵鞘率は激減する.3) ふ化後24時間以内の1令幼虫は水および餌の供給なしでも, 蓋をした20ml容量の小ガラスビンの中で25℃条件下で6日間死亡せず, 全部死亡するのに12日間かかつた.したがつてこのビンの中で2〜3日中に生死を判定するだけの実験では水や餌を供給する必要がない.4) 上記のビンの底に殺虫剤を処理し, ふ化後3〜4日以内の無給餌幼虫を10頭づつビン中に投入して蓋をするいわゆるドライフィルム法によると, この幼虫は各種殺虫剤に敏感である.(LD)_<50>値は化合物毎に異るが2.9mg/kg(フェニトロチオン)から87mg/kg(フェンカプトン)の範囲内にあつた.5) 上記のドライフィルム法でこの1令幼虫に対するDDTの(LD)_<50>値は, 親世代の飼育密度や, 産卵時の親のageによつて大きな変動はなく, 1.8μg/10頭付近であつた.このことはこの幼虫が入手の容易な割に均質であることを示している.6) 同様のビンと1令幼虫を用いて, 殺虫剤のくんじよう効果を検出することもできた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1971-05-20
著者
-
辻 英明
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
-
水野 隆夫
三共中央研
-
辻 英明
環境生物研
-
水野 隆夫
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
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