いくつかの食毒剤要素に対するチャバネゴキブリの反応の実験的研究
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概要
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ゴキブリ防除用のベイトの成分として用いた場合の, 誘引物質としてのメチルミリステート, 摂食促進物質としてのデンプン, マルトース, スクロース, 殺虫成分としてのホウ酸の有効性を25±1℃の条件下でチャバネゴキブリを用いて実験ケージ内で検討した.デンプン(25〜70%), 溶性デンプン(10〜25%)をベイトの主成分として用いた.ゴキブリには水を常に十分与えた.結果は次の通りである.1)ベイト中のホウ酸はチャバネゴキブリの摂食に対して忌避性を示さなかつた.2)ホウ酸を10および20%含むベイトを1日だけ与えたチャバネゴキブリの大部分は, ゆつくりではあるが死亡した.ホウ酸を含むベイトを連続的に与えた場合は, 同含有量のベイトを1日だけ与えた場合より短期間に死亡した.この場合, ホウ酸6.6mgを30頭の雌成虫が1カ月以内に摂取する事によつてその期間内に全部死亡し, 摂取ホウ酸量が多いほどより短期間に全部が死亡した.少くとも大部分の個体が毎晩餌を求める事は明らかである.3)微量適下処理により, ホウ酸水溶液を直接口器から吸入させた場合, チャバネゴキブリの若い雄成虫での(LD)_<50>値は約150μg/頭であり雄のそれは約200μg/頭であつた.この処理による死亡はすべて11日以内に起つた.4)メチルミリステートをベイトに加えた場合, 0.02および0.2%の含有量で明らかに摂食量の増大が認められた.2%以上ではむしろ摂食量が低下された.マルトースを含んだベイトは, スクロースを含んだものよりよく摂食され, この傾向は特に10および15%の高濃度で明らかであつた.5)ホウ酸20%の外に, 0.5%のlindaneまたはfenitrothinを加えたベイトでは, 加えないものよりはじめの死亡が早く起つたが, 100%死亡はおそかつた.fenitrothionでは特にこの傾向が強かつた.6)実験ケージの中にベイト粒を散布した方が, 同重量のベイト錠1個を設置するよりもゴキブリの早急な全滅が起つた.実験ケージ内に他の食物(米ぬか)がより多く存在してもベイトでゴキブリの全部または大部分を殺す事が出来た.
- 1970-01-31
著者
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辻 英明
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
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大野 茂紀
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
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