チャバネゴキブリ自然個体群に対する誘引性食毒剤の広範囲施用の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前報(辻・大野1969)の実験ケージ内での研究で, 1)ほとんどの成虫が毎晩食物を求めて行動する, 2)毒餌を喰う確率・摂食量は誘引物質・摂食促進物質の利用で著しく高められる, 3)毒餌が同一量の場合, 広く存在している方が防除速度が早い, 等のことがらが判つた.そこで実際の場面で, この毒餌の広範囲施用がチャバネゴキブリ個体群にどのような影響を与えるかを調べた.屋内の5区域でのチャバネゴキブリ個体群に対し, メチルミリステートを誘引成分, デンプンを摂食促進成分ホウ酸・リンデン・フェニトロチオン・トリクロルフォンを殺虫成分とする錠剤型及び粒剤型の食毒剤の中間試製品の広範囲施用を行つた.5区のうち4区では, トラップ(中に誘引性食毒剤を入れてなく, 調査時毎に生存している捕獲個体は逃がした)を用いてゴキブリの活動個体数・死亡率・ステージ構成(幼虫と成虫との割合).及び成虫の性比・のそれぞれの変化を調査した.各区共各日毎の死亡率は食毒剤の施用によつて著しく上昇した.そのうち1区で食毒剤を取り除いたところこの死亡率が又上昇した.ゴキブリの活動個体数は食毒剤の施用後2週間で1/(10)〜1/(60)まで低下し, 防除効果が明らかに認められた.急激な成長を示す個体群では幼虫の割合が非常に高く, 個体数増加がはげしい増殖によることを示した.このステージ構成は食毒剤の施用によつて大きな変化を受けなかつた.成虫の性比については調査個体数が少いが, 食毒剤施用に際し, 全区に共通の変化は認められなかつた.トラップ調査をしなかつた残り1区に於いても食毒剤施用の効果は明らかであつた.食毒剤の処方や剤型を改良することは, 将来のゴキブリ防除のために有意義であると考えられる.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1970-04-30
著者
-
辻 英明
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
-
大野 茂紀
Agricultural Chemicals Research Laboratories, Sankyo Co., Ltd.
-
辻 英明
環境生物研
関連論文
- 2 ゴキブリ被害の認識にみられる変遷(衛生害虫防除の現状と問題,第4回日本衛生動物学会西日本支部例会講演要旨)
- 基調講演.工場等における衛生害虫,産業害虫とIPM(第64回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)
- 桐谷圭治・湯川淳一編, 「地球温暖化と昆虫」, 発行所:全国農村教育協会, A5版, 346ページ, 定価=本体価格4,500円+税
- 桐谷圭治・田付貞洋編, 「ニカメイガ」(副題,日本の応用昆虫学), 執筆者:江村薫・菅野絃男・岸野賢一・桐谷圭治・後藤三千代・小山重郎・近藤章・昆野安彦・田付貞洋・積木久明・平野千里・廣瀬義躬・森本信生・八木繁美, 発行所:東京大学出版会, A5版, 290ページ, 本体価格7000円+税
- ゴキブリ用ベイト剤に対する乾燥および小麦粉被覆の影響
- 実地のゴキブリ捕獲指数に及ぼす調査用粘着トラップ数の影響
- 昆虫死体のカタラーゼ活性簡易チェック法の基礎検討
- ノシメマダラメイガ幼虫の収容容器の深さによる樹脂蒸散剤の効力差
- フェロモントラップを利用したノシメマダライガの総合防除
- コクヌストモドキ成虫の日周活動と歩行移動の実験的観察
- タバコシバンムシ成虫の室内移動実験
- ゴキブリ類に対するグリセロール及び関連物質の摂食行動誘起作用
- (5)ゴキブリ対策と研究知見(シンポジウム「21世紀の家屋害虫」,日本家屋害虫学会第30回大会発表要旨)
- 日本中部の室内におけるアカアシホシカムシの年間世代経過
- 小型飛翔昆虫の室内への侵入傾向と粘着ライトトラップへの反応
- パラジクロロベンゼンのノシメマダラメイガに対する幼虫侵入防止効果および成虫産卵防止効果
- 29 漁港周辺におけるドブネズミ調査
- 侵入した飛翔性微小昆虫の室内粘着UVライトトラップへの反応
- 餌の有無がタバコシバンムシ成虫の移動と日周活動に及ぼす影響
- S1 ゴキブリ用ベイト剤の基礎と最近の問題点(殺虫剤研究班)
- 木酢液に対するチャバネゴキブリの忌避性
- 殺虫剤処理面上の餌(ベイト)へのチャバネゴキブリの接近と死亡
- いくつかの食毒剤要素に対するチャバネゴキブリの反応の実験的研究
- ネアカカツオブシムシDermestes carnivorus F.の実験室内における生活史
- 14 薬剤及び処理範囲とゴキブリ防除効果の関係
- クロゴキブリの自発飛翔
- B31 ある一般家庭におけるクロゴキブリの発生調査 (その 2)
- A34 ある一般家庭におけるクロゴキブリの発生調査 (その 1)
- 昆虫死体のカタラーゼ活性簡易チェック法の基礎検討-その2-
- 京都府南部におけるオオゴキブリの採取と飼育
- UVライトトラップによるタバコシバンムシ成虫の捕獲効率
- 衛生害虫の総合防除を考える(Sat.1 殺虫剤研究班シンポジウム)
- ネアカカツオブシムシ(Dermestes carnivorus F.)の実験室内における産卵と耐寒性
- ある大規模工場における蚊駆除のための調査事例
- チャバネゴキブリ成虫の新潜伏場所への移動 : (第 3 報)雌雄間の相互干渉
- ジンサンシバンムシの生育と粉餌層の厚さとの関係
- S5.チャバネゴキブリの耐寒性と冬期の生息実態(テーマ:チャバネゴキブリの理解と防除,第12回日本ペストロジー学会大会(1996年11月26-27日・京都)セミナー講演要旨集)
- チャバネゴキブリ成虫の新潜伏場所への移動(第 2 報) : 餌と水の存在位置の影響
- チャバネゴキブリ成虫の新潜伏場所への移動(第 1 報) : シェルター間の移動に対する個体数密度の影響
- コクヌストモドキの餌内外の分布
- チャバネゴキブリ個体群の動態におよぼす特定グループ定期的除去の影響
- チャバネゴキブリに対するベイト剤の効力比較試験
- 無毒餌の存在が毒餌のチャバネゴキブリ防除効果に及ぼす影響
- 15 チャバネゴキブリ雌雄成虫の潜伏と移動
- B-31 チャバネゴキブリ潜伏場所周囲の薬剤処理効果の実験的検討 : 第 3 報
- 87 薬剤および処理範囲とゴキブリ防除効果の関係
- ゴキブリ用無色透明粘着トラップの実用性
- 飛翔性小型昆虫が室内に侵入する条件に関する実験 : 給気用(陽圧型)換気扇の防虫効果
- C11 異物昆虫侵入条件に関する実験 (3) : 防虫換気扇の効果
- 試験用昆虫としてのワモンゴキブリ 1 齢幼虫の利用
- 簡易カタラーゼ反応試験によるカタラーゼの活性低下
- 昆虫死体のカタラーゼ簡易検査法基礎データの追加 : 飛来侵入昆虫その他における反応
- 39 ヒメイエバエ幼虫休眠の 2・3 の特性について
- 34 ヒメイエバエの竹の子抽出物による誘引試験 2 : 京都と青森での養鶏場内実験
- 33 ヒメイエバエの竹の子抽出物による誘引試験 1 : 室内実験
- 88 自動噴霧装置による開放鶏舎のニワトリヌカカ防除法(第 1 報)
- 96 Diflubenzuron によるチャバネゴキブリ駆除実地試験成績その 2
- 24 Diflubenzuron によるゴキブリ実地駆除試験成績
- 黒い半野外性ゴキブリの性質と対策
- パラジクロロベンゼンによる各種昆虫の殺虫効果試験
- A-55 ゴキブリ類の生活史と休眠(衛生昆虫の休眠と移動)
- 2 モデルルームにおけるクロゴキブリの休息場所
- 98 非天然アルドペントース 4 種等のゴキブリに対する摂食行動誘起作用
- 5 ゴキブリに対するジフルベンズロンの殺虫効果
- ゴキブリに対するジフルベンズロンの効果
- チャバネゴキブリ成虫に対する各種殺虫剤の摂食阻害作用
- 4 ヤマトゴキブリ自然越冬個体群のステージ構成
- 微小飛来昆虫の屋内侵入と屋内気圧および吸入風速との関係
- 73 2 つのシェルター間におけるチャバネゴキブリの移動
- (6)UVライトトラップ条件下でのコクヌストモドキ成虫の飛翔方向(一般講演,日本家屋害虫学会第30回大会発表要旨)
- (5)コクヌストモドキ成虫のタワー先端からの飛び出し方向と着陸成虫の歩行方向(一般講演,日本家屋害虫学会第30回大会発表要旨)
- 桐谷圭治・田付貞洋編, 「ニカメイガ」(副題,日本の応用昆虫学), 執筆者:江村薫・菅野絃男・岸野賢一・桐谷圭治・後藤三千代・小山重郎・近藤章・昆野安彦・田付貞洋・積木久明・平野千里・廣瀬義躬・森本信生・八木繁美, 発行所:東京大学出版会, A5判, 290ページ, 本体価格7,000円+税
- 6 タバコシバンムシ成虫に対するUVライトトラップの捕獲効果(第62回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)
- コクヌストモドキ成虫の飛翔条件
- (4)コクヌストモドキの高所侵入と飛翔条件との関係(一般講演,日本家屋害虫学会第28回大会研究発表要旨)
- (2)UVライトトラップによるタバコシバンムシ成虫の捕獲効率(一般講演,日本家屋害虫学会第28回大会研究発表要旨)
- (2)タバコシバンムシの侵入と産卵(一般講演,日本家屋害虫学会第27回年次大会講演要旨)
- 昆虫の累代飼育は家畜化です(虫笛)
- タバコシバンムシの新餌容器への侵入と産卵
- ゴキブリ食毒剤に対するマイクロカプセル剤の付着効果
- 昆虫侵入条件に関する実験 : 照明,換気の影響
- ゴキブリについて (特集 衛生動物今昔物語)
- ゴキブリ用粘着トラップの入り口の状態と捕獲効率
- ゴキブリの生活史と行動に関する研究 : 特に越冬休眠、潜伏と摂食について
- ヤマトゴキブリ自然越冬個体群のステージ構成
- 餌の量に支配されるチャバネゴキブリ現存量の平衡と幼虫率およびトラップに対する個体の反応
- 16 チャバネゴキブリの平衡密度と幼虫率
- 屋外からの飛来侵入虫について : 微小昆虫の侵入条件に関する研究
- 果物,ハム,および緑茶の残渣に発生したコバエ類に関する観察
- 粘着トラップ上のベイト食物に対するチャバネゴキブリ,Blattella germanica (Linnaeus)の反応
- ゴキブリ捕獲数に対する粘着トラップの長さと誘引餌の影響
- B07 粘着トラップ上のベイトに対するチャバネゴキブリの反応
- 包装材料フィルムで蓋をした餌容器に対するノシメマダラメイガの産卵
- タバコシバンムシに関する最近の知見
- Sat.1 シンポジウム「殺虫剤による害虫防除と PCO」(殺虫剤研究班)
- オガサワラゴキブリ Pycnoscelus surinamensis (LINNE) の耐寒性
- 5 京都府南部におけるオオゴキブリの採集と飼育について(第 2 報)
- 食品・医薬品工場における飛翔性昆虫の問題点
- 微小飛来昆虫の屋内侵入に関する屋内気圧の追加測定
- チャバネゴキブリ自然個体群に対する誘引性食毒剤の広範囲施用の影響