日本中部の室内におけるアカアシホシカムシの年間世代経過
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概要
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1998年12月15日に,魚粉など動物成分を主体とする調味料風味料の工場製品粉末に発生しているアカアシホシカムシを,A)成虫18匹,B)老熟幼虫(終齢)15匹,C)若・中齢幼虫27匹の3群に分け,前2者は乾燥固型ネコ用ペットフードと煮干し(乾魚)の混合物中に,若・中齢幼虫は製品粉末中に入れ,それぞれ自然温度条件に近い埼玉県鳩ヶ谷市の事務室内で経過を観察した.上記の成虫Aは翌1999年4月7日までに83.3%(15/18)死亡,7月20日までに100%死亡し,次世代の発生はみられなかった.老熟(終齢)幼虫Bの越年して羽化した率は40%(6/15)で,羽化が6月15日〜7月9日の間に行われた.若・中齢幼虫Cの越年し羽化した率は18.5%(5/27)と低く,6月15日〜9月8日の間に羽化した.寒冷期間中は摂食しないので,この差は与えた餌の違いではなく,若齢幼虫の耐寒性の不足によるものと思われる.第1期羽化成虫B・Cは8月中旬までに約半数が死亡し,11月上旬に全部死亡した.上記第1期羽化成虫B・Cを投入した製品粉末から次世代幼虫Dが発生し,1999年9月中旬から11月末までに成虫Dの92.9%(26/28)が羽化した(第2期).この第2期羽化成虫Dは製品粉末中で冬期に死亡したが,これらの成虫から産生された幼虫Eは老熟幼虫となって越年し,2000年6〜7月に成虫Eが羽化した.これらの事実から,本種は日本中部の平地の自然条件下において終齢またはそれに近い幼虫で越冬し,6〜7月に羽化し,さらにそれらが産生する次世代が9〜11月に羽化する年間2世代の経過をたどるものと思われる.
- 2006-06-30
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