ゴキブリ捕獲数に対する粘着トラップの長さと誘引餌の影響
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概要
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誘引物なしの条件下,同一幅の入り口で長さの異なる粘着トラップによるチャバネゴキブリ成虫の捕獲数を室内実験で調査した結果,粘着面にゆとりがある状態では2倍の長さ(粘着面積も2倍)でも雌の捕獲数の増加は有意でなく,雄の場合はむしろ短小のトラップに有意に多く捕獲された.したがって,この場合捕獲数を粘着面積で補正することは誤りである.設置期間が短く,狭い設置ポイントの多いモニタリングでは長大なトラップは必要ではなく,小型トラップが便利であろう.粘着トラップ上に餌を載せた場合は捕獲数が有意に増加した.夏季に都市の飲食店において,中型で誘引物付きのトラップとやや小型で誘引物なしのトラップを50cm内の距離に対にして店内15ヶ所に1週間設置した結果,15ヶ所での2者の捕獲数の相関係数は0.62で,両者は類似の個体数分布を示した.両者を密着させることができればさらに高い相関が得られたと思われる.餌つきトラップには6〜283匹(平均112.7匹),餌無しには0〜37匹(平均12.7匹)の捕獲数があり,誘引物により捕獲数が増加したと思われる.誘引性(製品ロット)の変動を厳密に避ける場合や,ゴキブリ数の多すぎる場所でのモニタリングには誘引物なしのトラップが適し,ゴキブリ数の少ない場所では誘引物の使用もやむを得ないが,異種トラップ間の粘着面積などによるデータ換算には無理があると思われる.
- 日本家屋害虫学会の論文
- 2002-07-30
著者
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