各種有機燐剤のチャバネゴキブリに対する殺虫効力比較
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概要
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10種の有機燐殺虫剤と4種の塩素殺虫剤について, Topical Applicationおよび継続接触法によつて, チャバネゴキブリBlattella germanica L.に対するLD_<50>およびKT_<50>を求め, また限定された時間殺虫剤残渣にゴキブリを接触させる方法で, Sumithion, Baytex, Dibrom, ronnel, Dipterexの5種の燐剤の速効性ならびに残効性を求めた.さらに, さきに, 鈴木・白井・松永(1961)の報告したデータをあわせ, 各種殺虫剤の比較効力について, 綜合的な考察を加えた.Topical ApplicationによるLD_<50>では, DDVP(0.15μg/roach)がもつともすぐれ, 以下, Sumithion(0.25μg), Dibrom(0.26μg), dieldrin(0.31μg), lindane(0.33μg), Baytex(0.33μg), diazinon(0.39μg), malathion(0.48μg), chlordane(0.83μg)の順位になり, Dipterex(1.9μg), ronnel(2.2μg), Butonate(4.3μg), DDT(7.4μg), Acethion(9.9μg)は効力が低い.継続接触による速効性は, DDVP(KT_<-50>, 8.7分)がもつともすぐれ, 以下, Dibrom(39分), lindane(105分), diazinon(114分), malathion(128分), Sumithion(135分), Baytex(220分), Dipterex(340分), ronnel(430分)の順位になり, dieldrin(510分), chlordane(555分), DDT(>720分)は, はるかに遅効性である.限定時間接触による残効性では, Sumithion, Baytexがすぐれ, Dibrom, ronnel, Dipterexは, はるかに劣る.各種薬剤の効果を綜合的に考察すると, 少くとも残留処理の方式に使用する薬剤として考えた場合, dieldrinが著しくすぐれており, SumithionとBaytexがこれにつづき, 更に三番目のグループとして, lindane, chlordane, diazinonがあげられる.その他の薬剤は, 効力がはるかに小さい.わが国の1〜2の地域で, lindaneあるいはdieldrinに抵抗性の高いチャバネゴキブリが見出されている現在, Sumithion, Baytexあるいはdiazinonのように, 残留処理方式において有効な燐剤が見出されたことは, 重要な意義を持つものと考える.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1962-05-31
著者
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