数種の蚊幼虫に対する各種殺虫剤の LC-50 と抵抗性の検討

概要

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1.p-p'-DDT, lindane, dieldrin, aldrin, diazinon, DDVP, dipterex, parathionの8種の殺虫乳剤の蚊幼虫に対する効力を求め, あわせてその抵抗性を検討した.供試昆虫は, Culex pipiens pallens, Aedes albopictus, Aedes aegypti, Armigeres subalbatusの3〜4令幼虫で採集地は東京都内, 奄美大島名瀬市内, 鎌倉市, タイ国バンコックなどであり, 又採集年月は, 多くが1958年6月であるが, 一部には1952〜3年のものもある.2.その結果, C. pipiensとA. aegypti幼虫に対して効力の大きい薬剤から順に並べると, parathion, dieldrin, diazinon, DDVP, dipterex, aldrin, lindaneとなり, p-p'-DDTはこれらよりも一段と効力が低い.又濃度-致死率回帰直線の傾斜は, 一般に有機燐剤において急であり, dieldrinとp-p'-DDTではゆるやかである.3.各種蚊幼虫の薬剤に対する感受性を比較すると, こゝに供試した蚊のうちでは, A. aegyptiが最も感受性が低く, C. pipiensはこの3〜6倍である.又, A. albopictusとArm. subalbatusは, C. pipiensよりも若干感受性が高いものと推定される.4.1952, 1953, 1956, 1958の各年に東京都内から採集したC. pipiens幼虫について, p-p'-DDTに対する抵抗性の推移をそのLC-50から推定すると, 52〜53年, 56〜58年それぞれの間では殆んど差がなく, この両者の間では3〜4倍の抵抗性増大が見られる.又, 1956年と1958年を比較すると, lindane, dieldrinに対して2〜3倍抵抗性が増大しているのが認められる.なお, 1958年に各地で採集したC. pipiensの抵抗性を比較すると, 名瀬市旧市内採集のものが最も強く, 名瀬市大熊がこれにつぎ, 伝研構内採集のものは最も弱い.又, 海外の文献に示されたCulex pipiens fatigansの感受性系統におけるLC-50と, 邦産C. pipiens pallensのLC-50を比較すると, 後者はdieldrin, p-p'-DDTに著しく強く, lindaneにも若干強いのが認められ, これを薬剤撒布による抵抗性増大によるものと推定した.
日本衛生動物学会の論文
1958-12-10

数種の蚊幼虫に対する各種殺虫剤の LC-50 と抵抗性の検討

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