接触時間の異なる数種殺虫剤のチヤバネゴキブリ成虫に対する効力比較
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概要
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1)WHO-DDTの30%アセトン溶液及びdieldrin, chlordane, lindane, malathion, diazinonの各5%アセトン溶液を滴下したベニヤ板(0.5cc/100cm^2)に, チャバネゴキブリ成虫を30秒, 2分, 5分, 10分, 20分間それぞれ強制的に接触させ, 以後時間経過にともなう仰転数及び死亡数を観察し, 各薬剤の特性, 接触時間に伴う効果の変動について比較検討を行つた.2)接触時間が長びくにつれて, 6日後の仰転率は一般に高くなるが, DDT(♀, ♂), malathion(♀)ではこの傾向が明らかでなかつた.6日後に90%の仰転を期待するには, dieldrin, chlordane, diazinonでは4〜6分(♀)及び0.5〜2分(♂), lindaneでは40分以上(♀), 6.3分(♂), malathionでは18分(♂)の接触が必要である.3)仰転効果のはやさについて序列をつけると, lindane>diazinon>malathion≫chlordane>dieldrinで前三者の速効性グループは4時間後に既にかなりの仰転が見られ, 1日後から6日後にかけては顕著な増加が見られないのに対し, 後者の遅効性グループは, 4時間以内には殆ど仰転が見られず, 1日後から6日後にかけて徐々に仰転率が増大する.DDTは遅効性であり, 又6日後の仰転率も低い.なお, lindaneにおいて蘇生の現象が見られ, 特に♂において, 接触時間が短い程著しかつた.4)薬剤に対する感受性は, 一般に♂の方が♀より大きい.しかしmalathionでは逆に♀の方が感受性がやゝ高いという結果が得られた.5)以上の結果から, チャバネゴキブリ駆除における高濃度短時間接触という方式では, 接触後仰転までに要する時間を考慮に入れないとすれば, 供試した6薬剤中dieldrinとchlordaneが最も適しており, diazinonは比較的速効性であり, 且, 高致死率が得られる点で望ましい.DDTはこの駆除方式には不適な薬剤であることを知つた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1959-04-05
著者
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