志摩半島及びその周辺地域に分布するカンアオイ及びズソウカンアオイ類似植物の分類学的研究
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概要
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志摩半島およびその周辺地域(渥美半島など)においてカンアオイ属植物を調査したさい, 花期, 葉形や葉質, がく筒の形などがカンアオイHeterotropa nipponica(F.Maekawa)F.Maekawa, あるいはズソウカンアオイ H.savatieri(Franch.)F.Maekawa ssp.pseudosavatieri(F.Maekawa)Sugawaraによく似た植物を見いだした。しかし, これら2種は, 一般には関東南部や伊豆半島, さらには東海地方東部に固有な種と見なされている。そこで, 問題の植物が志摩半島及び周辺地域においてどのような形態的特徴をもつ個体群として存在しているかを調べるとともに, その分類学的位置づけを探るために, カンアオイやズソウカンアオイとの間で花の形態や染色体の比較を進めてきた。その結果, この地域には2つの植物群が認められ, その一つは, これまで関東南部から東海地方中部にかけて分布するとみなされてきたカンアオイそのものであることが確かめられた。他は丹沢と伊豆半島中央部に分布するズソウカンアオイに強い類縁性をもつ新たな分類群と見なしうることが明らかとなった。本報ではこれらの研究結果について述べた。
- 日本植物分類学会の論文
- 1992-08-05
著者
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