NMP22迅速定性法(BladderチェックNMP22^[○!R])による尿路上皮腫瘍診断

概要

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(目的)尿路上皮腫瘍の診断における尿中腫瘍マーカーBladderチェックNMP22[○!R]の有用性を検討した.(対象と方法)2004年4月から5月までの2カ月間に, 長野市民病院泌尿器科を受診した50症例を対象とした.内訳は顕微鏡的血尿・肉眼的血尿の初診患者25症例および尿路上皮癌診断治療後の経過観察として受診した患者25症例であった.診断は膀胱鏡, CT, 超音波検査, 排泄性尿路造影を組み合わせて行った.BladderチェックNMP22^[○!R]の判定は患者尿検体をサンプルウェルに滴下30分後, ラインの有無を肉眼的に読み取ることにより行った.細胞診はPapanicolaou分類のクラスI, II, IIIを陰性, IV, Vを陽性とした.(結果)50症例のうち, メーカーが検査対象からの除外を推奨している症例と尿路上皮腫瘍以外の悪性腫瘍の計7症例を除外し, 43症例で検討を行った.43症例中11症例が尿路上皮腫瘍と診断された.BladderチェックNMP22^[○!R]の結果は, 感度が63.6%, 特異度が62.5%, 正診率が62.7%であった(p=0.1703).尿細胞診の結果は, 感度が36.3%, 特異度が100%, 正診率が83.7%であった(p=0.0027). BladderチェックNMP22[○!R]は尿細胞診で診断することのできたすべての尿路上皮腫瘍を陽性と判定することができた.また, 尿細胞診で正しく診断できなかった3例の低グレード, 低ステージの小腫瘍で陽性を示した.また, 膀胱癌診断術後の経過観察症例で再発を認めなかった症例や尿路結石では偽陽性を示した.BladderチェックNMP22[○!R]の感度は尿細胞診を上回るが, 特異度は細胞診に劣るという結果が得られた.(結論)BladderチェックNMP22[○!R]は膀胱鏡と組み合わせることにより尿路上皮癌を効率よく診断でき, また経過観察の目的でも有用な検査法である.正常の尿路上皮の破壊によりNMP22が尿中に放出される疾患や病態を理解し, それらの症例をあらかじめ除外することによりBladderチェックの有用性を向上させることが可能である.一方, 術後の経過観察において膀胱鏡で腫瘍を認めなくてもBladderチェックが陽性と判定されているならば, 上部尿路に腫瘍がある場合や再発の危険が高い場合がある.そのような場合, 慎重な経過観察が必要である.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2006-01-20

NMP22迅速定性法(BladderチェックNMP22^[○!R])による尿路上皮腫瘍診断

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