根治的前立腺全摘除術を施行した症例の臨床および病理組織学的検討

概要

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(背景と目的)31例の前立腺癌患者に対して根治的前立腺全摘除術及び骨盤リンパ節郭精術を施行した。それらの臨床および病理組織所見から,転帰を左右する因子を検討した。(対象と方法)年齢は54歳から80歳,平均69.9歳,平均観察期間は44ヵ月。診断は針生検あるいは経尿道的前立腺摘除術によりなされ,全例で術前に短期間の内分泌療法を施行し,術後に非治癒切除例にはadjuvant療法を行った。組織学的分類は高分化腺癌が9例,中分化腺癌が12例,低分化腺癌が10例であった。臨床病期分類はA2が12例,Bが4例,Cが6例,D1が3例,D2が6例であった。(結果)診断確定時と前立腺全摘時の組織学的分化度に8例26%で不一致を認め,そのうち7例88%では全摘時により未分化な組織型を示した。また,D2症例を除いた25例中11例44%は術前診断がunderstagingであった。5年粗生存率は高分化型で100%,中分化型で92%,低分化型で51%であり高分化型と低分化型の間に有意差を認めた(p=0.03)。再発・再燃は病理学的病期Dの症例にのみ認められたが,統計上はリンパ節転移の有無による5年粗生存率の有意差はみとめられなかった。病理学的病期Dであっても長期生存の得られた症例もあった。(結論)臨床病期Cに属する症例にはbiological behaviorの異なる症例が混在しているので,これらを解析し,細分化する事によって治療法を選択する必要があると考えられる。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1996-04-20

根治的前立腺全摘除術を施行した症例の臨床および病理組織学的検討

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