前立腺全摘除術における尖部処理の改良と術後尿禁制

概要

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(目的)根治的恥骨後式前立腺摘除術(RRP)後の尿禁制につき手術方法に関し検討した.(対象と方法)RRPを施行した110例を対象とした.前立腺尖部へのアプローチにつき改良術式を導入した前後で2群(A群;従来法49例, B群;改良法61例)に分け, 他の臨床病理学的因子とともに尿禁制との関係を検討した.両群とも, (1)肛門挙筋筋膜を温存し, (2)前立腺側方処理を先行させた.B群では尖部に併存する前立腺肥大症の形態に応じて尿道を切断する操作を追加した.(結果)自排尿開始から1日目, 2日目, 5〜7日目の尿失禁量率(1日尿失禁量/1日全尿量)はA群: 36.6%, 22.5%, 12.6%, B群: 18.1%, 11.2%, 6.0%とB群で有意に低値を示した(P<0.05).術後3カ月後の完全尿禁制率もA群60.0%, B群81.3%とB群で早期に尿禁制が回復したが(P<0.05), 12カ月後ではそれぞれ97.8%, 98.3%とほぼ同等であった.なお, 他の因子と尿禁制に関する相関は認めなかった.(結論)前立腺尖部に的確にアプローチし, 尖部の形態に応じて正しい尿道切断面を得ることで, 短期尿禁制及び尿禁制回復期間が著明に改善される可能性が示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2006-01-20