異なる光環境下における網膜水平細胞の受容野特性
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概要
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自然界の光環境はダイナミックに変化しているが、そのような環境下でも視覚系は有効に機能している。近年、網膜水平細胞の受容野が背景光照射により変化することが報告された。このことは、視覚系が光環境に適応していくことを、神経細胞レベルで見たことになる。しかしながら、これらの報告では、背景光で生じる応答性の変化が考慮されていない。そこで今回、この点に注意し、背景光の水平細胞受容野への影響を調べた。その結果以下の3点が明らかになった。(1)受容野は、受容野測定に用いたテスト光で生じる応答振幅が大きくなると、大きく評価される。(2)暗時および背景光照射中の、テスト光に対する応答を等しくすると、背景光照射直後は受容野の変化は見られない。(3)背景光照射中、受容野の大きさは減少していき、5〜6分で一定値に落ち着く。受容野がこのような時間経過で変化していくことは、明順応との関連を示唆しており、重要である。さらに、受容野の変化が視覚で果す役割を調べるため、画像実験を計算機で行なった。その結果、水平細胞の受容野の変化は、異なった光環境下に適応してエッジを検出のに有効であることが示された。
- 1994-09-29
著者
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