電子顕微鏡写真からの立体構築(第一報) : 網膜双極細胞の樹状突起野

概要

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神経細胞の機能はその形態に密接に関係している。本研究では、網膜双極細胞の樹状突起野の連続超薄切片の電子顕微鏡像(Umino et al.,1994)を小型のグラフィック専用計算機(AVS station-Vistra880a)に取り込み、その3次元像を構築することを試みた。電子顕微鏡像には、希望する平面に斜めに切片が切れる、同じ切片でも不均一な歪みを生じているなどの問題がある。双極細胞の突起断面のトレース図をスキャナーで取り込んだ後、突起断面の位置、重心、輪郭線、大きさを計算する。次に、これらのデータを基に、異なる切片の突起断面同士のつながりを求め、ワイヤフレームモデルを作成し、双極細胞を視覚化した。立体構築は、双極細胞に信号を送る視細胞終末についても行なった。計算機上で立体構築を行なうことにより、神経細胞を種々の角度から、拡大率も変え、また像を回転させながら観察することが可能になった。その結果、双極細胞の樹状突起の一部は細い突起に分岐したあと再び太くなり、視細胞終末レベルを越えて色素上皮側に伸びているなど新たな知見も得られた。
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-09-29