室温による室内伝達関数の変化とその補正

概要

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音場制御における問題点の1つとして、環境変動に伴い伝達関数が変動してしまうことが挙げられる。このため、長時間にわたり音場を制御するためには、頻繁に伝達関数を測定するか、または変動に対する適応処理を行なう必要がある。環境変動を室温変化だけと仮定すれば、環境変動によるインパルス応答の変動は、音速変化に伴う時間軸伸縮の問題に帰着できる。これに注目し、線形伸縮処理を用いたインパルス応答の補正手法が提案され、その有効性が示されている。本報告では、この時間軸伸縮モデルを、1次のTaylor展開で近似することで、室温変化による伝達関数の変動モデルを提案する。室温変化が0.1℃という小さな範囲であれば、このモデルを用いて伝達関数の室温変化による変動を精度良く推定できることを確認した。また、提案モデルを用いてインパルス応答の補正を行ない、時間軸伸縮を用いた推定法と比較した。その結果、提案モデルでは、インパルス応答を帯域制限し、その微係数が得られるよう十分滑らかにすれば、ある程度の補正が可能であることが分かった。
社団法人電子情報通信学会の論文
1997-09-11