血管の解剖学的知識を用いた3次元腹部X線CT像からの大動脈領域自動抽出

概要

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本稿では,血管の解剖学的知識を用いた非造影3次元腹部X線CT像からの大動脈領域自動抽出法について述べる。筆者らはこれまでにエッジ情報と距離変換・逆距離変換を利用した大動脈の形状復元、および、領域拡張法を用いた形状修正による大動脈領域抽出法を提案してきた。しかし、他臓器との接触部が広範囲にわたって存在し臓器の輪郭が不鮮明な場合、芯線の抽出精度が低下し、また、形状修正処理によって誤抽出を起こすことがあった。そこで本稿では、芯線抽出処理において、距離変換に加えて球ハフ変換を利用した手法を提案する。球ハフ変換を用いて、血管がチューブ状という情報を芯線位置推定時の評価値に反映させることにより、芯線抽出処理の安定化を図る。また、形状修正処理において、CT値のみではなく、復元された大動脈領域のCT値の分散を利用することにより誤抽出を抑制する。提案手法を非造影3次元腹部X線CT像22例に適用した結果、ある程度の誤抽出はあるものの安定して大動脈領域を抽出できることを確認した。
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-05-22